コンテンツにスキップ

小川三紀

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1908年の学会誌に掲載された肖像

小川 三紀(おがわ みのり、1876年(明治9年)3月30日 - 1908年(明治41年)10月31日[1])は、日本の鳥類学者。日本人で最初に鳥類に専念した動物学者の一人[1]飯島魁東京帝国大学教授を助けて[要出典]剥製標本や鳥卵標本を集め、日本鳥類学の礎を築く。南西諸島におけるルリカケスの再発見やオオトラツグミの発見などの業績がある[2]

来歴

[編集]

1876年(明治9年)、静岡藩医小川清齋の三男として誕生[1]1892年(明治25年)、静岡市立高等小学校卒業[1]。中学校2年生頃より昆虫類の採集を始め[1]、旧制中学4年で処女論文を発表[1]1896年(明治29年)、静岡県尋常中学校卒業[1][3]1901年(明治34年)年、第一高等学校卒業[1]東京帝国大学医科大学に進学後も鳥類の研究を続け、動物学雑誌および日本動物学彙報に論文を発表。1905年(明治38年)年、動物学会会員[1]、東京帝国大学医科大学卒業[1]、東京帝国大学医科大学院入学[1]1906年(明治39年)年、東京帝国大学解剖学教室副手(嘱託)[1]、東京帝国大学解剖学教室助手(嘱託)[1]。1908年(明治41年)年、東京帝国大学解剖学教室助手退職[1]京都帝国大学福岡医科大学内科助手(嘱託)[1]。同年10月31日、32歳で急逝[1]

病床についた後も鳥類を購入し、標本の収集を続け、研究を怠ることはなかったという。

視察・採集

[編集]
  • 1897年(明治30年) 日光足尾地方鳥界視察[1]
  • 1900年(明治33年) 富士山麓大宮口より西方面鳥界視察[1]
  • 1901年(明治34年) 下総成田地方鳥界視察[1]、伊豆大島鳥界視察[1]、富士山南方面鳥界視察[1]
  • 1902年(明治35年) 富士山麓鳥界視察[1]、大井川十包坊鳥類採集[1]、駿甲両州鳥界視察[1]
  • 1903年(明治36年) 富士山麓東方面鳥界視察[1]、富士山麓東南方面鳥界視察[1]
  • 1904年(明治37年) 富士山麓東方面鳥界視察[1]
  • 1905年(明治38年) 日光及び日光湯元地方鳥界視察[1]
  • 1906年(明治39年) 富士山麓東方面鳥界視察[1]

論文

[編集]

公益財団法人山階鳥類研究所のリストでは、以下の論文が挙げられている[1]。小川は急逝したため、その業績は論文のみである[1]

  • 1905 Notes on Mr. Alan Owston’s Collection of Birds from the Islands lying between and Formosa. Annotationes zoologicae Japonenses (日本動物學彙報) 5(4):175-232
  • 1908 A Hand-List of the Birds of Japan. Annotationes zoologicae Japonenses (日本動物學彙報) 6(5):337-413
  • 1895 静岡地方鳥類一斑 動物学雑誌 7(83):317-326
  • 1896 静岡の鳥類目録 動物学雑誌 8(94):303-305
  • 1900 静岡地方に於けるPhasianus versicolor Viell.(キジ)に就て 動物学雑誌 12(139):181-183
  • 1900 雀の産卵期に於ける気温並に其卵重に就て 動物学雑誌 12(140):211-213
  • 1900 鳥界雑観 動物学雑誌 12(145):409-412
  • 1900 夏月富士山の鳥 動物学雑誌 12(145):412-413
  • 1900 日光足尾地方に於ける秋季の鳥類 動物学雑誌 12(146):436-439
  • 1901 ツメナガセキレイ 動物学雑誌 13(149):90-93
  • 1901 鳥界雑観 動物学雑誌 13(150):138-144
  • 1901 鳥界雑観 動物学雑誌 13(152):216
  • 1902 富士山麓の鳥界 動物学雑誌 14(166):267-283
  • 1902 富士山麓の鳥界 動物学雑誌 14(167):313-327
  • 1902 東京に於ける九月の鳥界 動物学雑誌 14(168):378-384
  • 1902 鳥界雑観 動物学雑誌 14(168):384-386
  • 1903 静岡地方に於ける秩鶏の産卵と其季節に於ける気候の関係 動物学雑誌 15(178):269-284
  • 1903 伊豆半島東方方面局部の鳥界観察 動物学雑誌 15(178):289-293
  • 1903 八丈島よりの鳥便り 動物学雑誌 15(181):414-415
  • 1903 駿河産鳥類一斑〔一〕 動物学雑誌 15(182):449-453
  • 1904 八丈島よりの鳥便り(第二報) 動物学雑誌 16(184):78
  • 1904 駿河産鳥類一斑〔二〕 動物学雑誌 16(188):214-230
  • 1904 駿河産鳥類一斑 動物学雑誌 16(190):285-311
  • 1904 静岡及び濱松地方よりの鳥便り 動物学雑誌 16(194):470
  • 1904 金澤よりの鳥便り 動物学雑誌 16(194):470-472
  • 1905 よこふりせきれい 動物学雑誌 17(195):11-17 Pl.1
  • 1905 地方ヨリノ鳥便り 動物学雑誌 17(195):18-20
  • 1905 八丈島よりの鳥便り(第三報) 動物学雑誌 17(196):48-49
  • 1905 富士山麓東南地方に於ける夏期の鳥界観察 動物学雑誌 17(197):51-56
  • 1905 南洋にて採集せられたる日本の鳥 動物学雑誌 17(198):73-80
  • 1905 駿河及遠州よりの鳥便り 動物学雑誌 17(198):86-88
  • 1905 東京市内及附近に於ける鳥類の産卵数例 動物学雑誌 17(201):217-218
  • 1905 日光山麓西北方面に於ける夏期の鳥界観察 動物学雑誌 17(202):250-255
  • 1905 湯本の鳥界 動物学雑誌 17(202):256-264
  • 1905 日光山麓西北方面に於ける夏期の鳥界観察 動物学雑誌 17(203):283-298
  • 1905 日光山麓西北方面に於ける七八月の鳥界一覧 動物学雑誌 17(203):298-300
  • 1906 明治三十九年一月中静岡附近にて捕はれたる鳥類 動物学雑誌 18(209):103-106
  • 1906 琉球「ヨシゴイ」と「オーストンゲラ」 動物学雑誌 18(209):89-91
  • 1906 台湾綿花島にて獲たる数種の鳥類 動物学雑誌 18(210):125-131
  • 1906 静岡にて得たる珍鳥二種 動物学雑誌 18(212):157-160

【新聞掲載記事】

  • 東京の春の鳥(一) 時事新報 明治36年1月1日
  • 東京の春の鳥(二) 時事新報 明治36年1月4日
  • 東京の春の鳥(三) 時事新報 明治36年1月7日
  • 東京の春の鳥(四) 時事新報 明治36年1月11日

関連項目

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae 小川三紀 公益財団法人 山階鳥類研究所
  2. ^ 森岡弘之「第2節 日本鳥類目録の変遷」『日本鳥学会誌』61特別号、日本鳥学会、75頁。 
  3. ^ 『静中・静高同窓会会員名簿』平成15年度(125周年)版 44頁。

外部リンク

[編集]