日野・スーパードルフィン
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スーパードルフィン(Super Dolphin)は、日野自動車により1981年にKF/ZM系(全車系に共通の名前はない)の後継車として発売された大型トラックである。
概要
[編集]発売当時、この名前は正式名称ではなく、正式に呼ばれたのは1983年になってからである(1981年当時のCMでも「日野大型トラック」と呼称。CM終盤にイルカのマークに名前記載はあった。キャッチコピーは「81年大地を支配する」)。現在、大型車では当たり前となったハイルーフキャビンを誕生させた車種でもある。1992年には“スーパードルフィン・プロフィア”として2003年までこの名前が使用され、日野・プロフィアに引き継がれる。
また、車系を単車系はF、セミトラクタ系はSで始まるものにすべて一新した。この型式はプロフィアにも受け継がれている。 先代のH系トラクタに設定されていたハイマウントキャブは存在しないが、単車とセミトラクタではグリルデザインが異なる。 運転手の間では、トラクタのグリルを単車に移植する改造が流行っている。
歴史
[編集]- 1981年5月 発売開始。排ガス識別記号が型式の頭に付き、型式は単車がK-F#、セミトラクタがK-S#系となる。キャブデザインは中型のレンジャーの大型版、といった感じである。前期型は丸目4灯ライトで、レンジャーと同じものが採用された。セミトラクタのみトレーラーグリルと呼ばれるHE/HHの顔を踏襲した物が装着されている。前期型はトラクタも丸目である。エンジンはV10がEV700(415馬力)、V8がEF550(300馬力)とEF750(330馬力)、直6はEK100(270馬力)と日本初のインタークーラーターボを採用したEP100(285馬力)が搭載された。フロントのウインカーランプはZM系のものと非常に似通っており一見すると流用に見えるが、よく見るとドルフィン用はレンズの幅が大きく、反射鏡の形状も違う別物である。テールランプはイチコーの角型タイプが純正装着された。ウインカーランプに反射板があるのが特徴で、国内他3社のトラックでは純正装着されていない。フロントグリルには「(例)SH63」と4桁の文字がエンブレムで表記されていた。これは車種によって異なり、前から2桁のアルファベットは車系、後ろから2桁の数字はエンジン型式や出力を表している。(例えばSHは2軸セミトラクタを表しており、63は330馬力のEF750型エンジンを搭載している事を表している)。キャッチコピーは「ディーゼルエンジンが頭脳をもった」、「81年大地を支配する、日野大型トラック」。
- 1983年 昭和58年排出ガス規制適合を機にマイナーチェンジ。角形4灯ライトに変更。ウインカーの形状変更、ポジションランプはウインカーランプに組み込まれていたが、独立してヘッドライト横へ配置。横線基調のルーバータイプグリル採用。「シャッターグリル」や「ブラインドグリル」、「洗濯板」と呼ばれる。トラクタもマイナーチェンジされ、グリルが新しくデザインされた。ヘッドライトベゼルはグリル同色だった。また、旧型のWGが継続生産されていた除雪車がモデルチェンジした[1]。キャッチコピーは「先進が走る」。
- 1985年 マイナーチェンジ。四角い穴が上下左右に並んだグリルが装着された。通称「蜂の巣グリル」と呼ばれる。V8エンジンにF17C(360馬力)、直6ターボにK13C(330馬力)を追加。バッテリーリレースイッチ廃止。ヘッドライトベゼルはブラックに塗装される。ミラーステーなどの形状もシャッター期と異なる。キャッチコピーは「独走スーパードルフィン」。車型とエンジン番号のエンブレム「例SH63、FR28、FH22等」は立体のエンブレムから、ステッカーになった。セミトラクタではシャッター期と違いを見分けるポイントである。
- 1987年 単車に続きトラクタをマイナーチェンジ。V10エンジンはEV700からV21C(390馬力)、V22C(420馬力)に変更した。
- 1990年 平成元年排出ガス規制適合を機にマイナーチェンジ。単車は通称「鬼グリル」と呼ばれる逆台形のグリルが採用された。速度表示灯はこれまでZM系の物を踏襲した串差し型の丸型3連から角型に変更された。5代目レンジャー増トン車の速度表示灯はこのドルフィン用の流用である。フロントバンパーもデザイン変更され、トラクタでは速度灯とともに年式を見分けるポイントである。また、ドアの窓枠が従来のシルバーからブラック、運転席側のミラーステー取付位置がピラーからドアに変更された。エンジンはV8をEF750からF17D、F17CからF17Eと改めてF20Cを追加した。型式が変化しており、搭載エンジンは2桁の数字から1桁の数字と英字を組み合わせたものになる。(例P-SH631AA→W-SH3FDAA)。そのためかフロントグリルには車型のみが表示されるようになる。一方、直6エンジンはEK100からK13Dに、直6ターボをEP100からP09CとK13Cに変更。ハイルーフ車の速度表示灯はキャブにビルトイン化された。キャッチコピーは「私の前には誰もいない」、「ハイバランス10t」。
-
スーパードルフィンGN
(1985年改良型) -
スーパードルフィンFH
(最終型)
ダブルキャブ消防車 -
スーパードルフィンFU
航空自衛隊
ミサイル運搬車
ラインアップ
[編集]- FH(4×2)
- FR(6×2R、トラニオンサス、エアサス)
- FP(6×2R、Zサスペンション)
- FN(6×2F)
- FS(6×4)
- FQ(低床6×4)
- FW(低床8×4)
- FZ(4×4、除雪車)
- FU(6×6、除雪車)
- SH(4×2セミトラクタ)
- SS(6×4セミトラクタ)
- GN(6×2F、タンクローリー専用シャーシ)
- WP(6×2P、構内専用車、30t積み)
搭載エンジン
[編集]「区分」は各エンジンに付けられた記号であり、車種ごとの型式から搭載エンジンを判別できるものである。例えば、P-SH631AAの場合、「63」はEF750エンジン搭載車となる。 1990年を境にエンジン記号が2桁の数字から1桁の数字+1桁の英字に変わっている。
1981-1990年
区分 | エンジン型式 | 形態・方式 | 排気量(cc) | 出力帯(PS) | 搭載期間 |
---|---|---|---|---|---|
22 | EM100 | 直6・NA | 9,419 | 220 | 1981-1990 |
27 | EK100 | 13,267 | 270 | ||
28 | EP100 | 直6・インタークーラーターボ | 8,821 | 290・310 | 1982-1990 |
33 | K13C | 12,882 | 335 | 1986-1990 | |
60 | EF550 | V8・NA | 16,260 | 300 | 1981-1990 |
63 | EF750 | 16,745 | 330・390 | ||
66 | F17C | 17,238 | 360 | 1985-1990 | |
69 | V21C | V10・NA | 20,932 | 390 | 1987-1990 |
71 | EV700 | 19,900 | 415 | 1981-1986 | |
72 | V22C | 21,548 | 420 | 1987-1990 |
1990-1992年。例えば、W-SH3FDAAの場合、「3F」はF20C搭載車となる。
区分 | エンジン型式 | 形態・方式 | 排気量(cc) | 出力帯(PS) | 搭載期間 |
---|---|---|---|---|---|
1F | F17D | V8・NA | 16,745 | 310 | 1990-1992 |
1P | P09C | 直6・インタークーラーターボ | 8,821 | 295・315 | |
1K | K13C | 12,882 | 345・375 | ||
2K | K13D | 直6・NA | 13,267 | 270 | |
2F | F17E | V8・NA | 17,238 | 340 | |
3F | F20C | 19,688 | 370 |
CM出演者
[編集]その他
[編集]1994年に公開されたスタジオジブリが製作した映画「平成狸合戦ぽんぽこ」の一場面で同型車両(1986年マイナーチェンジ、通称蜂の巣グリル)が使用されていたことがある[2]。
脚注
[編集]- ^ フロントグリルは途中で変更されず最後までルーバータイプが採用された。
- ^ “Hino Super Dolphin in "Heisei tanuki gassen pompoko"”. IMCDb.org. 2021年5月24日閲覧。
関連項目
[編集]- 日野自動車
- 日野・TC/KF/ZM
- 日野・プロフィア - 後継車種。
- 日野・レンジャー