椿範立
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椿 範立(範 立) | |
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生誕 | 中華人民共和国湖南省 |
研究機関 | 富山大学 |
出身校 |
中国科学技術大学 東京大学 |
主な業績 |
石油代替エネルギーに着目した触媒プロセスの開発 航空機ジェット燃料を直接合成できるオンデマンド触媒の開発等 |
主な受賞歴 |
日中科学技術交流協会賞 日本工業新聞社賞 石油学会野口記念奨励賞 日本エネルギー学会進歩賞・学会賞 日本学術振興会賞 触媒学会学会賞 |
プロジェクト:人物伝 |
椿 範立(範 立)(つばき のりたつ、中国語: 椿范立、ファン・リ[1][2])は、工学者。 富山大学学術研究部工学系教授。日本学術会議連携会員[3][4]。日本学術振興会第148委員会委員[1]。日本工学アカデミー正会員。
人物・経歴
[編集]1965年中華人民共和国湖南省生まれ。1987年中国科学技術大学理学部卒業後、1991年に来日し、1992年東京大学大学院工学系研究科修士課程を経て、1995年博士(工学)を取得[5]。
東京大学の博士課程を卒業後、中国への帰国を考えるも、研究を続ける意欲があり、また妻が日本人であったため日本に残ることを決意する[5]。同年4月に同大学助手、1998年講師、1999年助教授に最短で昇進する。その後、2001年4月に富山大学工学部教授に35歳の若さで就任し、来日後わずか10年ほどで教授となる[5]。現在は富山大学学術研究部工学系教授を務める[6]。
2007年、「石油代替エネルギーに着目した触媒プロセスの開発」により日本学術振興会賞を受賞[1][2]。ネイチャー、米国化学会誌、アンゲヴァンテ・ケミーなど国際的に有名な学術雑誌に500を超える論文を発表し、エネルギー分野において世界的に注目されている。また9冊の本を執筆し、50を超える特許を獲得している[7]。
2016年には、Elsevier社のデータベースに基づいた上海交通大学の世界一流大学研究センターの集計による「被引用数の多い論文著者ランキング2016」(エネルギー科学・工学部門)に選出された[8][9]。
略歴
[編集]- 1965年(昭和40年)8月2日 - 中華人民共和国湖南省で生まれる
- 1987年(昭和62年)- 中国科学技術大学理学部卒業
- 1992年(平成4年)- 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
- 1995年(平成7年)- 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、博士号修得
- 1999年(平成11年)- 東京大学大学院工学系研究科助教授
- 2001年(平成13年)- 富山大学工学部教授
- 2008年(平成20年)- 富山大学大学院理工学研究部(工学部)教授
- 2020年(令和2年)- 富山大学学術研究部工学系教授
主な業績
[編集]- 石油代替エネルギーに着目した触媒プロセスの開発(2003年)[1][2]
- コバルトの使用量を大幅に削減できるカプセル型FT合成触媒の開発(2018年)[10]
- 航空機ジェット燃料を直接合成できるオンデマンド触媒の開発(2018年)[11][12]
- 「自己触媒機能付き金属触媒反応器」の作製(2020年)[13]
主な外部役職
[編集]- 日本化学会近畿支部幹事
- 石油学会JS幹事
- 触媒学会代議員、メタン関連触媒研究会代表、関西支部幹事
- 日本エネルギー学会合成燃料部会幹事
- 石油産業活性化センター合成燃料海外調査研究委員会委員長
- 石油産業活性化センター技術評価専門委員会委員
- 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)技術委員
- 日本学術振興会第148委員会(石炭・炭素資源利用技術委員会)委員
- 日本学術会議連携委員
主な受賞
[編集]- 1993年(平成5年)- 日中科学技術交流協会賞(アマダ工業賞)
- 1994年(平成6年)- 日本工業新聞社主催先端技術学生論文表彰制度優秀賞(日本工業新聞社賞)
- 1998年(平成10年)- 石油学会野口記念奨励賞
- 2000年(平成12年)- 日本エネルギー学会進歩賞
- 2007年(平成19年)- 日本学術振興会賞
- 2017年(平成29年)- 日本エネルギー学会学会賞
- 2017年(平成29年)- 日本学術会議連携会員に当選
- 2019年(令和元年)- 触媒学会学会賞
- 2020年(令和2年)- 日本航空株式会社より感謝状を受賞[14]
- 2021年 (令和3年) - 日本工学アカデミー正会員(Member of The Engineering Academy of Japan)に選出
主な取得特許
[編集]- 合成ガスから軽質炭化水素を製造する触媒、その触媒の製造方法、及び合成ガスから軽質炭化水素を製造する方法(特願2014-047828)
- メタノールの製造方法(特願2010-261731、特願2011-087563)
- メタノール合成用触媒の製造方法及びメタノールの製造方法(特願2008-063056、特願2009-259232)
- 液体炭化水素の製造方法(特願2010-051485)
- エタノール合成方法及び装置(特願2007-081397)
- 含酸素化合物の製造方法(特願2009-059360)
著書(分担執筆を含む)
[編集]- “Design and Engineering of Gas-Liquid-Solid Three-Phase Slurry Reactor and Bubble Column Reactor”in “Chemical Engineering Encyclopedia”7th edition(丸善出版、2011年)
- “Chemistry of Fischer-Tropsch Synthesis”, in "New Development of Biomass Refinery Catalytic Technology"(シーエムシー出版、2011年)
- “Preparation of Capsule Catalyst and Cu/ZnO Catalyst”in “Handbook of Catalyst Preparation”(エヌ・ティー・エス、2011年)
- “Catalytic Chemistry of Reduction Reactions”in “Catalysis Chemistry”(丸善出版、2011年)
- “Biomass to Hydrocarbons”, in “Biomass Handbook”, 2nd edition(オーム社、2010年)
- New Bimodal Catalysts for Fischer-Tropsch Synthesis book chapter in "Advanced Technology of Methane Chemical Conversion" (シーエムシー出版、2008年)
脚注
[編集]- ^ a b c d “第3回(平成18年度)日本学術振興会賞受賞者一覧”. 日本学術振興会. 2020年11月6日閲覧。
- ^ a b c “椿範立(範立)”. 第3回(平成18年度)日本学術振興会賞. 2020年11月6日閲覧。
- ^ “連携会員一覧|日本学術会議”. www.scj.go.jp. 2020年11月6日閲覧。
- ^ “[https://www.scj.go.jp/ja/scj/member/pdf/25renkei_meibo.pdf 第 2 5 期 日本学術会議連携会員名簿 (全体版) 令和2年10月1日 現在]”. 日本学術会議. 2020年11月6日閲覧。
- ^ a b c “活跃在日本的中国人―富山大学教授 椿范立 - 客观日本”. www.keguanjp.com. 2020年11月6日閲覧。
- ^ “椿 範立 Tsubaki Noritatsu”. KAKEN. 2020年11月6日閲覧。
- ^ “日本富山大学椿范立教授学术报告及师生座谈会”. 材料科学与工程学院. 2020年11月6日閲覧。
- ^ “Elsevier社のデータベースに基づいた、上海交通大学の世界一流大学研究センター の集計による「被引用数の多い論文著者ランキング2016」(エネルギー科学・工 学部門)において、環境応用化学科 椿 範立教授が選出されました - ニュース|富山大学 工学部”. enghp.eng.u-toyama.ac.jp. 2020年11月6日閲覧。
- ^ “The Most Cited Researchers: Developed for ShanghaiRanking's Global Ranking of Academic Subjects 2016 by Elsevier”. www.shanghairanking.com. 2020年11月6日閲覧。
- ^ “[https://www.jst.go.jp/pr/announce/20180814/index.html 従来の定説を覆す新規なFT合成触媒 ~コバルト含有量の大幅削減に成功~]”. 富山大学 科学技術振興機構(JST). 2020年11月6日閲覧。
- ^ “航空機ジェット燃料を直接合成 富山大学開発の新たな「オンデマンド触媒」”. 大学ジャーナルオンライン (2018年10月13日). 2020年11月10日閲覧。
- ^ “[https://www.jst.go.jp/pr/announce/20180918/index.html 航空機ジェット燃料を直接合成できるオンデマンド触媒の開発 ~「ゲームチェンジングテクノロジー」による低炭素社会の実現~]”. 富山大学 科学技術振興機構(JST). 2020年11月6日閲覧。
- ^ “[https://www.jst.go.jp/pr/announce/20200814/index.html 世界初、自己触媒機能付き金属触媒反応器を3Dプリント技術で作製 ~高温・高圧反応可能、プラントを劇的に小型化~]”. 富山大学 科学技術振興機構(JST). 2020年11月6日閲覧。
- ^ “2020年7月 日本航空株式会社 感謝状(賞状)”. 椿研究室. 2020年11月10日閲覧。