コンテンツにスキップ

津高虎太鼓

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

津高虎太鼓(つたかとらだいこ)は、三重県津市を拠点に活動する創作和太鼓チーム。

三重県津市を拠点とし、和太鼓を通した活動を行う郷土芸能団体[1]である。創立当初から曲を洋譜面で教えている全国的にも珍しい団体である。2023年に発足50周年を迎え、10月29日(日)に50周年記念演奏会を控えている。

概要

[編集]

津藩主で築城名手と謳われた武将、藤堂高虎にちなんで名付けられた。地元のお祭りである津まつり[2]への参加をはじめ、定期演奏会・海外演奏等の単独演奏を行うほか、県・市の代表として全国のイベント等に参加をしている。また、保幼・小・中学校や特別支援学校等を対象とした、演奏体験活動(ワークショップ)も行っている。青少年の健全育成と情操教育を目的に、和太鼓音楽の心と技を磨きながら、津市の郷土芸能の一翼を担っている。

演目

[編集]

〜 代表曲 〜

・道囃子(藤舎呂華泉作調1973年)

 津青年会議所20周年記念に創作されたもので、お祭りの際に、津 高虎太鼓の山車を雄々と引き廻すお囃子である。ゆったりとした拍子にのって、数々の変化したリズムが奏される。

・本太鼓(藤舍呂華泉作調1973年)

 藤堂藩35万石の城下町の安濃津・津青年会議所が藤堂家にちなみ創作したもので、いわゆる「所望」として津大祭において各所で奏されるのがこの曲である。

・藤堂豊年祈願太鼓(金子圭佑作調1979年)

 藤堂藩は永年の五穀の豊熟を津観音に祈願した。安濃津平野の豊穫をテーマに、ひいてはこれからの津市の発展祈願をこめたのがこの曲である。この曲は津 高虎太鼓少年隊の結成を記念して同年の津大祭において初演された。

・安濃津合戦太鼓(金子圭佑作調1977年)

 慶長5年(1600年)石田三成方の西軍は伊勢路に乱入。関ヶ原の戦いの前哨戦である「安濃津籠城戦」が始まった。城主富田信濃守信高は寄手3万の軍に対して町民を含む1,700名で奮戦。勇社な町人気質を背景に歴史に残る戦いを描いた曲である。

・藤堂百人太鼓 〜序・春・夏・秋・冬の章〜(金子圭佑作調1980年) 

 藤堂高虎公没350年、津築城400年を記念し、藤堂の民衆の気質と津の美しい風物をえがいて作られた曲である。曲は、序・春・夏・秋・冬の章に分かれており、誰もが参加できて太鼓をたたけることを念願して作曲された。序は、民衆が百人太鼓のために集まるさまをえがき、曲のはじまりをつげる寄席太鼓の部分をえがいた。春の章(副題・偕楽園)は、紫つつじの咲く名所とうたわれ十一代藩主藤堂高猷が創設した美しい山荘と、春を謳歌している民衆をえがいた。夏(同・阿古木乃浦)は、二代藩主・高次公時代から娯楽としてとりあげられ、11代高猷時代に「楯干の被下」として民衆化した棚干の名所として知られる白砂青松、そして謡曲阿漕で有名な阿漕浦を描き、また、阿漕平治の伝説も笛の音であらわしたもの。秋(同 豊作と祭)は、元和偃武の直後は共同娯楽として辻相撲が流行、特に三代藤堂高久公は相撲が好きでしばしば力士を招いて馬場屋敷で相撲を催したが、これを大相撲の寄せ太鼓で表現、やがて乱れ打ちに変わり、豊作と民衆の祭を表現。冬(同・経ヶおろし)は、冬将軍の厳しさとそれに立ち向かう藤堂藩民の心意気と明日に向ってはばたく民衆の姿をえがいたものである。

・日本太鼓とオーケストラの為の安濃津譚抄(金子圭佑 作調 1984.3)

 「安濃津譚抄」とは古い津の里お話しの抜き書き調という意味である。この曲は、戦国時代前の素朴な情緒豊かな古き良き時代の安濃津に思いを馳せられて作られたもので、1984年、日本太鼓群とティンパニーとシンセサイザーのコラボレーションとして「津打の会」、「三重フィルハーモニー交響楽団」が演奏した。曲は、締太鼓の序章について朝もやの中から安濃津平野のテーマが浮かび上がってくる。鈴鹿の山々に抱かれて、そして阿漕の海に育まれた美しい田園の安濃津平野。そして安濃津城をいただく活気にあふれた凛々しい城下町。激しい太鼓のリズムと牧歌的な安濃津平野のテーマがシンセサイザーで歌われる。そして冬。鈴鹿おろしの吹く中、里からは「子守歌」が聞こえてくる。そして安濃津平野のテーマは勇壮な太鼓のリズムに乗って春を謳歌し、安濃津の里は平和と喜びに包まれる。

・おこせ火(水谷忍 作調1998.4 村田2005.12編調)

 まちや地域の、やる気を起こせ・元気をおこせ・文化と発展をおこせ、という願いを込めて地域のまち、人々とのつながりを願う曲である。1998年 「全国商店街まちづくりと全国高虎城下町まちづくりサミット」が津市で開催され、丸之内商店街による「藤堂高虎公ねぶた山車」を引き回す演奏曲として作曲される。2010年4月、人が「明日へ向かって」の思いを込めた歌詞を作詞して演奏に取り入れ、思いをおこせ火に灯す。

・予兆(生田隆明 作調)

 2021年に第76回国民体育大会三重とこわか国体」が開催されるにあたり、その開会式の演奏曲として作曲される。


◎その他の曲を含めると40曲を超える曲を作曲・演奏してきている。

沿革

[編集]

・1973年 津青年会議所創立20周年事業として発足される。 津まつりに初参加。金子圭佑氏が音楽監督として就任。

・1979年 津 高虎太鼓少年隊が結成される。

・1981年 オイスカ国際活動20周年フェスティバル@愛知県体育館、「大12回日本のリズム 太鼓まつりに出演。

・1982年 津観音会式、’82奈良の夏祭り@奈良公園県庁前に出演。

・1983年 創立10周年記念「津 高虎太鼓」レコード作成(ヤマハレーベル)。明るい社会づくり運動、合歓の郷チビッ子大集合に出演。

 四国今治寿太鼓保存会10周年記念「日本の太鼓まつり」@今治市に出演。

・1984年 津青年会議所から独立し、津 高虎太鼓として組織化される。

 '84大阪ダイアモンドシティカーニバル@大阪市、津観音会式、熊野横丁商店街夏祭りに出演。

・1985年 音楽監督の金子圭佑氏が心筋梗塞にて急逝。享年48歳。水谷忍氏が音楽監督として引き継ぐ。

 三重フィルハーモニー交響楽団チャリティコンサート、フィリピンマニラシンガポール演奏旅行に出演、

 帰国演奏会@三重県文化会館を公演。

・1986年 JCI世界会議「インターナショナルウィークフェスティバル@名古屋市、津競艇高虎杯に出演。

・1987年 第1回「津・高虎太鼓演奏会」を公演@津リージョンプラザを公演。

・1988年 博多どんたく@福岡市、国民文化祭兵庫’88姫路城全国太鼓祭り@姫路市に出演。

・1989年 アジア太平洋博覧会@福岡、鑑真大和上まつり@鹿児島市坊津町に出演。

・1990年 花博「三重観光一座丸」@大阪市、日本Jrコンクール全国大会@豊橋市に出演。

・1992年 津商工会議所女性部華乃津太鼓(後の津 高虎太鼓華乃津会)が発足。

・1993年 創立20周年記念演奏会「津から響け伝統の競演」を公演。

・1994年 三重千人太鼓コンサート、まつり博三重’94「津市DAY」、国民文化祭「オープニングパレード」出演。

・1995年 大響祭'95たかのす@秋田県鷹巣町に出演。

・1996年 カーネギーホールチャリティーフェスティバル@ニューヨークに出演。

 「祭Now 96Jカーネギーホール公演記念演奏会を開催。

・1997年 わんぱくフェスタ、太鼓ジュニアフェスティバル出演。

・1998年 南島町まつり@南島町、博多どんたく@福岡市、O・TA・I・KO響'98@福井県織田町に出演。

・1999年 津商工会議所女性部華乃津太鼓が、津 高虎太鼓華乃津会に名称を変更する。

 甲良町夏まつり@滋賀県甲良町、鑑真大和上まつり@鹿児島県坊津町に出演。

・2000年 春日村太鼓おどり祭り@岐阜県春日村、おかげ横丁「とことんどんどこ」@伊勢市、「伝統芸能の競演」に出演。

・2001年 伊勢神宮外宮神楽殿竣工奉祝祭@伊勢市、松坂祇園まつり@松阪市、鑑真大和上まつり@鹿児島市坊津町に出演。

・2002年 伊勢楽市@伊勢市外宮、迎月の会@津市、高虎サミット@上野市に出演。

・2003年 O.TA-IKO響'03@福井県織田町に出演、創立30周年記念演奏会@三重県総合文化センターを公演。

・2004年 NBSオーサカキング2004@大阪、日本太鼓連盟岐阜Jrコンクール予選ゲスト@岐阜に出演。

・2005年 津なぎさまち開港記念、津まんなか広場完成記念、熊野川上横町@熊野市、鑑真大和上まつり@鹿児島県坊津町、

 市内中学校芸術鑑賞演奏会、ステージラボ三重セッション、第7回日本太鼓]rコンクール@横浜市に出演。

・2007年 新津市太鼓フェスティバル、藤堂高虎公生誕450周年祭、神恩感謝日本感謝祭@伊勢市に出演。

・2008年 藤堂高虎公津入府400年記念「響け!こころの鼓動」、神島潮騒太鼓「太鼓の集い」、

 神恩感謝「日本太鼓祭」、みえ青少年伝統芸能、第2回神々の国太鼓祭「天鼓」に出演。

 津·高虎太鼓創立35周年記念演奏会@三重県文化会館 中ホールを公演。

・2009年 津市青少年文化芸術祭、第11回日本太鼓Jr.コンクール@浜松市、

 TAIKO Charity Concert@東京市、第13回日本太鼓全国フェスティバル@大分、神恩感謝「日本太鼓祭」@伊勢市に出演。

・2010年 東近江和太鼓フェスティバル、「子どもと日本の音楽」@三重、「高虎サミットin甲良」@甲良町、

 御影堂 平成大修理落成慶大法会、第4回神々の国太鼓祭「天鼓」@三重県度会町に出演。

・2011年 第13回日本太鼓Jr.コンクール@愛知、姉妹都市オザスコ轟太鼓Jr.共演@津市、第5回神々の国太鼓祭「天鼓」に出演。

・2012年 鎮江市友好訪日団懇親会、ロンドン五輪吉田沙保里選手激励会、伊勢神宮外宮奉納演奏、かざはやの里 藤堂高虎まつりに出演。

・2013年 第15回日本太鼓Jr.コンクール@金沢市、かざはやの里 藤堂高虎まつりに出演。

 創立40周年記念演奏会「温鼓知新」@三重県文化会館 中ホールを公演。

・2014年 第4回雷童たいこ大会@飛騨・世界生活文化センター、DANCE STUDIO GROOVE発表会に出演。

・2015年 津城復元資金造成和太鼓ライブ「壱打伝心」、小津安二郎記念碑序幕式に出演。

・2016年 津城復元資金造成和太鼓ライブ「壱打伝心ver.2」、伊勢志摩サミット2016告知イベント演奏(津市・伊勢市)、

 和太鼓演奏鑑賞会(虹の夢津)、新津市誕生10周年記念事業に出演。

・2017年 日本の太鼓 頂上響演@飛騨・世界生活文化センター 飛騨芸術堂に出演。

 津城復元資金造成和太鼓ライブ「以心伝心ver.3」、津市成人式、しろやま嘉隆まつり(鳥羽市)に出演。

・2018年 創立45周年記念演奏会「不易流行」@三重県文化会館 中ホールを公演。

 ライオンズクラブ国際協会334複合地区第64回年次大会に出演。

・2019年 三重大学応援団35周年 第15回ブラスバンド部チアリーダー部合同ステージ@三重大学三翠ホール、

 津城復元(和太鼓&高虎落語)、日本PTA東海北陸ブロック研究大会オープニングアクト、第1回津市バスケットボールカーニバルのオープニングアクトに出演。

 津まつり会場に「高虎ベースDON!DON!」を新設。

・2020年 コロナ禍で津まつりが中止。初のオンライン津まつり出演に合わせ、YouTubeチャンネルを設立。

 Go津ぅ丸之内に出演。ライトアップイベントJAPAN31PROJECTに参加。

・2021年 オンライン津まつりにて津 高虎太鼓少年隊がイオンモール賞を受賞。津 高虎太鼓が明治安田生命賞を受賞。

 甲良町せせらぎ歴史フェスタ@岐阜県に出演。

・2022年 津 高虎太鼓華乃津会30周年記念演奏会を公演。

 津城復元(桜待ちコンサートⅡ)、おまつりキッズなりきり撮影会@イオンモール津南に出演。

・2023年 創立50周年記念演奏会を公演予定。


備考:地元三重県や津市で開催される「津まつり」をはじめ、「高虎楽座」、「郷土芸能ふれあいフェスティバル」、「津市民文化祭 音楽部門」、「三重県民文化祭」等には定期的な出演を重ねている。また、幼保・小・中学校、特別支援学校等を対象とした定期的な演奏体験活動(ワークショップ)も重ねている。

受賞

[編集]

・1982年 音楽監督 金子圭佑氏「三重県文化奨励賞(音楽·演劇部門)」受賞

・1990年 津 高虎太鼓が津市の文化奨励賞を受賞

・1992年 津 高虎太鼓が三重県の知事表彰を受ける

・2004年 音楽監督 水谷忍氏「三重県文化奨励賞(音楽·演劇部門)」受賞

・2009年 津 高虎太鼓が津市の文化功労賞を受賞

脚注

[編集]
  1. ^ 公式サイト
  2. ^ 津まつり”. 2023年1月1日閲覧。

外部リンク

[編集]