コンテンツにスキップ

満屋裕明

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
満屋 裕明
生誕 (1950-08-09) 1950年8月9日(74歳)
日本の旗 日本 佐世保市
国籍 日本の旗 日本
研究分野 ウイルス
出身校 熊本大学医学部(1975年卒)
主な業績 世界初のHIV治療薬 (AZT) の開発
主な受賞歴 紫綬褒章2007年
日本学士院賞(2015年)
プロジェクト:人物伝
テンプレートを表示

満屋 裕明(みつや ひろあき、1950年8月9日[1] - )は、日本のウイルス学者。国立国際医療研究センター研究所長。熊本大学特別招聘教授。アメリカ国立がん研究所内科療法部門レトロウイルス感染症部部長。HIV治療薬の研究を行っている。獨協医科大学特任教授。

1985年バローズ・ウェルカム(現グラクソ・スミスクライン)社の抗レトロウィルス薬抗がん剤AZT」が世界初のHIV治療薬にもなることをアメリカ国立衛生研究所en:Samuel Broderおよびen:Robert Yarchoanとともに発見した[1]。同年にAZT開発について論文発表をしたが、アメリカでの特許は、実験に協力していたバローズ・ウェルカム社が、満屋に無断で取得してしまった[2]。満屋は同社が高価格でAZTを売り出したことに怒り、さらに新しいHIV治療薬の研究に励んだ[2]。その結果、世界で2番目と3番目のHIV治療薬(「ddI (en:Didanosine)」と「ddC (en:Zalcitabine)」)も満屋がSamuel BroderおよびRobert Yarchoanとともに開発した[2]。なお、満屋がライセンスを企業に与える際には、適切な価格での販売を条件にしている[2]

2006年には、アメリカの研究者との共同研究で開発したHIV治療薬「ダルナビル」が、途上国が特許料を払わずに使える医薬品として世界で初めて国連の機関に登録された[3][4]

2007年には紫綬褒章を受勲、2015年には日本学士院賞を受賞[4]

略歴

[編集]

学歴

[編集]

職歴

[編集]
  • 1975年 熊本大学医学部附属病院第二内科入局
  • 1980年 熊本大学医学部第二内科学講座助手
  • 1982年 熊本大学 医学博士
  • 1983年 渡米、国立衛生研究所 配属。
    1983年 アメリカ国立がん研究所客員研究員[1]
    1985年 アメリカ国立がん研究所臨床癌プログラムCancer Expert(上級研究員)
    1989年 同プログラムSenior Investigator(主任研究員)
    1991年 同研究所内科療法部門レトロウイルス感染症部部長
  • 1997年 熊本大学医学部内科学第二講座(現血液膠原病内科)主任教授
    1999年 熊本大学医学部附属病院治験支援センター長(兼任)
    2000年 同附属病院感染免疫診療部長(兼任)
    2000年 同附属病院病院長補佐
    2001年 同附属病院副病院長
    2003年 京都大学ウイルス研究所エイズ研究施設客員教授
    2004年 京都大学ウイルス研究所客員教授
    2012年 国立国際医療研究センター 臨床研究センター長・理事、京都大学ウイルス研究所客員教授、獨協医科大学特任教授
    2016年熊本大学医学部附属病院総合臨床研究部 特別招聘教授、国立国際医療研究センター 研究所 所長・理事、熊本大学名誉教授
    2017年千葉大学客員教授、獨協医科大学特別栄誉教授

編著

[編集]
  • 「ウィルス感染症との戦い 現状としての21世紀への展望」 (茂田士郎と共編) 医薬ジャーナル社 2000年
  • 「最新医学別冊 新しい診断と治療のABC65/免疫5 HIV感染症とAIDS」 最新医学社 2010年
  • 「週刊医学のあゆみ HIVの発見から40年 医学はどう戦ったか、これからどう戦うのか 2023年」 医歯薬出版 2023年
  • 「別冊医学のあゆみ HIVの発見から40年 医学はどう戦ったか、これからどう戦うのか 2024年」 医歯薬出版 2024年

受賞・叙勲

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c 慶應義塾 (2007年9月26日). “第12回慶應医学賞受賞者決定”. https://www.ms-fund.keio.ac.jp/prize/news/2007release-j.pdf 2015年7月14日閲覧。 
  2. ^ a b c d “タイムスリップ 高額に義憤、第2・第3の新薬~世界初のエイズ薬、企業が無断で特許”. 朝日新聞: p. 23. (2011年2月15日). オリジナルの2011年11月18日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20111118110329/https://aspara.asahi.com/blog/science/entry/VL6j2ozUkk 
  3. ^ “第21回(2014年度)読売国際協力賞 満屋裕明・熊本大教授 途上国にエイズ薬普及 特別賞:青年海外協力隊など3団体”. 読売新聞. (2014年11月4日). https://info.yomiuri.co.jp/group/yri/k-prize/450.html 2018年12月19日閲覧。 
  4. ^ a b 国立国際医療研究センター公式サイト - お知らせ - 満屋裕明臨床研究センター長の「日本学士院賞」受賞決定について
  5. ^ 長崎緑子 (2005年9月4日). “満屋裕明さん”. 朝日新聞社. http://mytown.asahi.com/kumamoto/news.php?k_id=44000139999990327  [リンク切れ]
  6. ^ 博士論文データベース
  7. ^ 2007年4月28日薬事日報
  8. ^ 第12回慶應医学賞受賞者
  9. ^ 朝日賞 2014(平成26)年度 受賞者一覧
  10. ^ 日本学士院賞授賞の決定について”. 日本学士院. 2015年3月16日閲覧。
  11. ^ 日本学士院賞に細野秀雄氏ら9人”. サイエンスポータル. 科学技術振興機構 (2015年3月13日). 2015年3月16日閲覧。
  12. ^ 日本学士院賞に9人選ばれる”. NHLニュース. NHK (2015年3月12日). 2015年3月16日閲覧。
  13. ^ 『官報』号外232号、令和5年11月6日
  14. ^ “秋の叙勲4075人 三浦友和さんや久石譲さんらに”. 日本経済新聞. (2023年11月3日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA01A7O0R01C23A1000000/ 2023年11月17日閲覧。 

外部リンク

[編集]