生 (仏教)
仏教用語 ジャーティ | |
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パーリ語 | Jāti |
サンスクリット語 | Jāti |
チベット語 | skyed.ba |
ビルマ語 |
ဇာတိ (IPA: [zàtḭ]) |
中国語 |
生 (拼音: shēng) |
日本語 |
生 (ローマ字: shō) |
英語 | birth |
クメール語 |
ជាតិ (Cheat) |
シャン語 |
ၸႃႇတီႉ ([tsaa2 ti5]) |
シンハラ語 | ජාති |
ベトナム語 | sinh |
仏教用語の生(しょう)は、パーリ語のJāti(ジャーティ)に由来する概念であり、サンサーラ(saṃsāra)によって新しい生命として、繰り返し存在しつづけることを指す(輪廻)。
仏教の教えでは、ジャーティは以下の文脈で使われる。
- 四諦(苦、集、滅、道)においては、苦の一面として。
- 十二因縁における11番目として。
- 四相(生、住、異、滅)のひとつとして[1] 。なお、生、住、異、滅それぞれの要素は、説一切有部の五位七十五法のうち、心不相応行法の一部をなす[2]。
種別
[編集]伝統的な仏教思想では、ジャーティには4つの形態がある(四生)[3][4]。
- 卵からの誕生 (サンスクリット語: Andaja; パーリ語: Aṇḍaja; 卵生; チベット語: Sgongskyes) - 鳥、魚、爬虫類など。
- 子宮からの誕生 (サンスクリット語: Jarayuja; パーリ語: Jalābuja; 胎生; チベット語: Mnal-skyes) — ほとんどの哺乳類と、庶民的な天部ら。
- 霧からの誕生 (サンスクリット語: Samsvedaja; パーリ語: Saṃsedaja; 濕生; チベット語: Drod-skyes) — 腐った肉に生まれる蛆虫など(微生物の卵を指すであろう)。
- 転生による誕生 (サンスクリット語: Upapaduka; パーリ語: Opapatika; 化生; チベット語: Rdzus-skyes) — 奇跡的な実体化、大部分の天部ら。
生によって獲得されるものに、釈迦は以下を挙げている。
四諦において
[編集]四諦においてジャーティは、苦の一面として示されている。たとえば初転法輪においては[6]
比丘たちよ、苦の諦とは以下である。
すなわち、生は苦である、老は苦である、病は苦である、死は苦である、
怨憎するものに会うことは苦である、愛するものと別居するのは苦である、求めて得られないのは苦である。
要するに五取蘊は苦である。
Ajahn Sucittoは仏教の観点から、出生にかかわる困難やドゥッカについて以下を説明している[7]。
どのようにジャーティは難しいのか、そして苦が伴うのか? まあ、出生は物理的に痛いものである。赤ちゃんがどんなに苦しんでいるか注目してください。 現世に産まれることは、絶望的で恐ろしい経験に違いない。
今日の世界に生きる大部分の人々にとって、それは(胎内という)栄養が保証された環境の終わりと、生き残るための闘争の始まりを意味するからだ。 ごく一握りの、豊かな社会に暮らす特権的な人であっても、生まれてからは、身体的不快感が必ずあるし、また快適性、財産、健康らを維持したり守る必要がでてくる。 いずれの場合でも出生とは、その長期的・短期的な結果は明らかに死であり、その道筋は究極的には避けがたい消滅である。 出生の結果としてもたらされる喜びが何であろうと、出産には、遅かれ早かれ発生する苦やストレスの要素が含まれている。
出生は、達成を追い求める「未達成状態」と見ることもできる。つまり出生は、需要の始まりであり、それは何かの発生を伴った影の気分である。
十二因縁
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ジャーティは十二因縁の11番目に位置づけられる。それは有(ビハーバ, bhava)の結果であり、それに続く老いと死(老死)の始まりである。すなわち、生まれたからには、必ず老いて死ぬという事である。
Anantaraṃ hi jātassa jīvitā maraṇaṃ dhuvaṃ,
Jātā jātā marantīdha evaṃ dhammā hi pāṇino.生まれたものには、生の次に必ず死がある。生まれては生まれ、(そして)死す。
実に、命あるものどもは、このような定め(法)がある。
脚注
[編集]- ^ 櫻部・上山 2006, p. 310~311.
- ^ 中村 2002, p. 96.
- ^ 佛學問答第三輯
- ^ Bot Thubten Tenzin Karma and Rebirth
- ^ Four Noble Truths
- ^ In this translation by John T. Bullit, Bullit leaves the term "dukkha" untranslated. The main article that presents this translation is The Four Noble Truths.[5] Links to each line in the translation are as follows: line 1: First Noble Truth; line 2: Second Noble Truth; line 3: Third Noble Truth; line 4: Fourth Noble Truth.
- ^ Ajahn Sucitto 2010, p. 37.
参考文献
[編集]- Piyadassi Thera (trans.) (1999). Dhammacakkappavattana Sutta: Setting in Motion the Wheel of Truth (SN 56.11). Retrieved 2007-06-13 from "Access to Insight" at http://www.accesstoinsight.org/tipitaka/sn/sn56/sn56.011.piya.html.
- Thanissaro Bhikkhu (trans.) (1997). Paticca-samuppada-vibhanga Sutta: Analysis of Dependent Co-arising (SN 12.2). Retrieved 2007-06-20 from "Access to Insight" at https://web.archive.org/web/20060512063953/http://www.accesstoinsight.org/canon/sutta/samyutta/sn-12-002-tb0.html.
- Thanissaro Bhikkhu (trans.) (2000). Maha-satipatthana Sutta: The Great Frames of Reference (DN 22). Retrieved 2007-06-20 from "Access to Insight" at http://www.accesstoinsight.org/tipitaka/dn/dn.22.0.than.html.
- Ajahn Sumedho (2002), The Four Noble Truths, Amaravati Publications
- Ajahn Sucitto (2010), Turning the Wheel of Truth: Commentary on the Buddha's First Teaching, Shambhala
- Bhikkhu, Thanissaro (1997), Tittha Sutta: Sectarians, AN 3.61 12 November 2007閲覧。
- Bodhi, Bhikkhu (2000), The Connected Discourses of the Buddha: A New Translation of the Samyutta Nikaya, Boston: Wisdom Publications, ISBN 0-86171-331-1
- Das, Surya (1997), Awakening the Buddha Within, Broadway Books, Kindle Edition
- Epstein, Mark (2004), Thoughts Without A Thinker: Psychotherapy from a Buddhist Perspective, Basic Books, Kindle Edition
- Gethin, Rupert (1998), Foundations of Buddhism, Oxford University Press
- Goldstein, Joseph (2002), One Dharma: The Emerging Western Buddhism, HarperCollins
- Harvey, Peter (1990), Introduction to Buddhism, Cambridge University Press
- Kalupahana, David J. (1992), A history of Buddhist philosophy, Delhi: Motilal Banarsidass Publishers Private Limited
- Keown, Damien (2003), Dictionary of Buddhism, Oxford University Press, ISBN 0-19-860560-9
- Moffitt, Phillip (2008), Dancing with Life: Buddhist Insights for Finding Meaning and Joy in the Face of Suffering, Rodale, Kindle Edition
- Nanamoli, Bhikkhu (1995), The Middle Length Discourses of the Buddha: A New Translation of the Majjhima Nikaya, Boston: Wisdom Publications, ISBN 0-86171-072-X
- Nhat Hanh, Thich (1999), The Heart of the Buddha's Teaching, Three River Press
- Rahula, Walpola (2007), What the Buddha Taught, Grove Press, Kindle Edition
- Trungpa, Chogyam (2009), The Truth of Suffering and the Path of Liberation (edited by Judy Leif), Shambhala
- Tulku, Ringu (2005), Daring Steps Toward Fearlessness: The Three Vehicles of Tibetan Buddhism, Snow Lion
- 櫻部建、上山春平『存在の分析<アビダルマ>―仏教の思想〈2〉』角川書店〈角川ソフィア文庫〉、2006年。ISBN 4-04-198502-1。(初出:『仏教の思想』第2巻 角川書店、1969年)
- 中村元『龍樹』講談社学術文庫、2002年。ISBN 4-06-159548-2。