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生 (仏教)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
仏教用語
ジャーティ
パーリ語 Jāti
サンスクリット語 Jāti
チベット語 skyed.ba
ビルマ語 ဇာတိ
(IPA: [zàtḭ])
中国語
(拼音shēng)
日本語
(ローマ字: shō)
英語 birth
クメール語 ជាតិ
(Cheat)
シャン語 ၸႃႇတီႉ
([tsaa2 ti5])
シンハラ語 ජාති
ベトナム語 sinh
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仏教用語(しょう)は、パーリ語Jātiジャーティ)に由来する概念であり、サンサーラsaṃsāra)によって新しい生命として、繰り返し存在しつづけることを指す(輪廻)。

仏教の教えでは、ジャーティは以下の文脈で使われる。

種別

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伝統的な仏教思想では、ジャーティには4つの形態がある(四生)[3][4]

  • 卵からの誕生 (サンスクリット語: Andaja; パーリ語: Aṇḍaja; 卵生; チベット語: Sgongskyes) - 鳥、魚、爬虫類など。
  • 子宮からの誕生 (サンスクリット語: Jarayuja; パーリ語: Jalābuja; 胎生; チベット語: Mnal-skyes) — ほとんどの哺乳類と、庶民的な天部ら。
  • 霧からの誕生 (サンスクリット語: Samsvedaja; パーリ語: Saṃsedaja; 濕生; チベット語: Drod-skyes) — 腐った肉に生まれる蛆虫など(微生物の卵を指すであろう)。
  • 転生による誕生 (サンスクリット語: Upapaduka; パーリ語: Opapatika; 化生; チベット語: Rdzus-skyes) — 奇跡的な実体化、大部分の天部ら。

生によって獲得されるものに、釈迦は以下を挙げている。

比丘たちよ、生(jāti)とは何か? それぞれの衆生が、それぞれの種別(nikāye)において、生(jāti)、発生(sañjāti)、出現(okkanti)、発生(nibbatti)、生起(abhinibbatti)、の顕現、諸の獲得。 比丘たちよ、これが生と呼ばれる。

四諦において

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四諦においてジャーティは、苦の一面として示されている。たとえば初転法輪においては[6]

比丘たちよ、とは以下である。
すなわち、生は苦である、老は苦である、病は苦である、死は苦である、
怨憎するものに会うことは苦である、愛するものと別居するのは苦である、求めて得られないのは苦である。
要するに五取蘊は苦である。

Ajahn Sucitto英語版は仏教の観点から、出生にかかわる困難やドゥッカについて以下を説明している[7]

どのようにジャーティは難しいのか、そして苦が伴うのか? まあ、出生は物理的に痛いものである。赤ちゃんがどんなに苦しんでいるか注目してください。 現世に産まれることは、絶望的で恐ろしい経験に違いない。

今日の世界に生きる大部分の人々にとって、それは(胎内という)栄養が保証された環境の終わりと、生き残るための闘争の始まりを意味するからだ。 ごく一握りの、豊かな社会に暮らす特権的な人であっても、生まれてからは、身体的不快感が必ずあるし、また快適性、財産、健康らを維持したり守る必要がでてくる。 いずれの場合でも出生とは、その長期的・短期的な結果は明らかに死であり、その道筋は究極的には避けがたい消滅である。 出生の結果としてもたらされる喜びが何であろうと、出産には、遅かれ早かれ発生する苦やストレスの要素が含まれている。

出生は、達成を追い求める「未達成状態」と見ることもできる。つまり出生は、需要の始まりであり、それは何かの発生を伴った影の気分である。

十二因縁

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  十二因縁  
無明(無知)
名色
六処
(存在)
(誕生)
老死(老いと死)
 

ジャーティは十二因縁の11番目に位置づけられる。それは(ビハーバ, bhava)の結果であり、それに続く老いと死(老死)の始まりである。すなわち、生まれたからには、必ず老いて死ぬという事である。

Anantaraṃ hi jātassa jīvitā maraṇaṃ dhuvaṃ,
Jātā jātā marantīdha evaṃ dhammā hi pāṇino.

生まれたものには、生の次に必ず死がある。生まれては生まれ、(そして)死す。
実に、命あるものどもは、このような定め(法)がある。

脚注

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  1. ^ 櫻部・上山 2006, p. 310~311.
  2. ^ 中村 2002, p. 96.
  3. ^ 佛學問答第三輯
  4. ^ Bot Thubten Tenzin Karma and Rebirth
  5. ^ Four Noble Truths
  6. ^ In this translation by John T. Bullit, Bullit leaves the term "dukkha" untranslated. The main article that presents this translation is The Four Noble Truths.[5] Links to each line in the translation are as follows: line 1: First Noble Truth; line 2: Second Noble Truth; line 3: Third Noble Truth; line 4: Fourth Noble Truth.
  7. ^ Ajahn Sucitto 2010, p. 37.

参考文献

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  • Ajahn Sumedho (2002), The Four Noble Truths, Amaravati Publications 
  • Ajahn Sucitto (2010), Turning the Wheel of Truth: Commentary on the Buddha's First Teaching, Shambhala 
  • Bhikkhu, Thanissaro (1997), Tittha Sutta: Sectarians, AN 3.61, http://www.accesstoinsight.org/tipitaka/an/an03/an03.061.than.html 12 November 2007閲覧。 
  • Bodhi, Bhikkhu (2000), The Connected Discourses of the Buddha: A New Translation of the Samyutta Nikaya, Boston: Wisdom Publications, ISBN 0-86171-331-1 
  • Das, Surya (1997), Awakening the Buddha Within, Broadway Books, Kindle Edition 
  • Epstein, Mark (2004), Thoughts Without A Thinker: Psychotherapy from a Buddhist Perspective, Basic Books, Kindle Edition 
  • Gethin, Rupert (1998), Foundations of Buddhism, Oxford University Press 
  • Goldstein, Joseph (2002), One Dharma: The Emerging Western Buddhism, HarperCollins 
  • Harvey, Peter (1990), Introduction to Buddhism, Cambridge University Press 
  • Kalupahana, David J. (1992), A history of Buddhist philosophy, Delhi: Motilal Banarsidass Publishers Private Limited 
  • Keown, Damien (2003), Dictionary of Buddhism, Oxford University Press, ISBN 0-19-860560-9 
  • Moffitt, Phillip (2008), Dancing with Life: Buddhist Insights for Finding Meaning and Joy in the Face of Suffering, Rodale, Kindle Edition 
  • Nanamoli, Bhikkhu (1995), The Middle Length Discourses of the Buddha: A New Translation of the Majjhima Nikaya, Boston: Wisdom Publications, ISBN 0-86171-072-X 
  • Nhat Hanh, Thich (1999), The Heart of the Buddha's Teaching, Three River Press 
  • Rahula, Walpola (2007), What the Buddha Taught, Grove Press, Kindle Edition 
  • Trungpa, Chogyam (2009), The Truth of Suffering and the Path of Liberation (edited by Judy Leif), Shambhala 
  • Tulku, Ringu (2005), Daring Steps Toward Fearlessness: The Three Vehicles of Tibetan Buddhism, Snow Lion 
  • 櫻部建上山春平『存在の分析<アビダルマ>―仏教の思想〈2〉』角川書店角川ソフィア文庫〉、2006年。ISBN 4-04-198502-1 (初出:『仏教の思想』第2巻 角川書店、1969年)
  • 中村元『龍樹』講談社学術文庫、2002年。ISBN 4-06-159548-2