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第10特科連隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第10特科連隊
第1大隊実射検閲の様子(2023年3月3日)
創設 1957年(昭和32年)2月1日
廃止 2024年(令和6年)3月20日
所属政体 日本の旗 日本
所属組織 陸上自衛隊
部隊編制単位 連隊
兵科 野戦特科
所在地 愛知県豊川市
編成地 姫路
上級単位 第10師団
担当地域 東海地方
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第10特科連隊(だいじゅうとっかれんたい、JGSDF 10th Artillery Regiment)は、愛知県豊川市豊川駐屯地に駐屯していた第10師団隷下の野戦特科部隊である。

概要

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三河警備隊区(愛知県東部の三河地方18市町村)の防衛警備・災害派遣を担当し、静岡県西部を災害時緊急赴援地域としている。連隊長は1等陸佐が充てられ、豊川駐屯地司令を兼務していた。なお連隊長は、担当隊区が旧国名の三河地域とほぼ重なり、国衙(こくが)があったとされる愛知県豊川市に駐屯していることから、別名「三河守(みかわのかみ)」と呼ばれる事があった。

かつては本州唯一の完全編成(火砲60門)の特科連隊であったが、2014年(平成26年)3月の師団改編(即応予備自衛官訓練の終了)により5個大隊から3個大隊に縮小改編された。

沿革

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  • 1957年(昭和32年)
    • 2月1日:姫路駐屯地において第3管区総監直轄部隊として第10特科連隊が編成完結(3個大隊基幹)。
※編成:連隊本部、本部中隊、第1大隊(軽砲)、第2大隊(中砲)、第3大隊(高射)
  • 1958年(昭和33年)6月26日:第10混成団新編により、同団隷下に編入。
  • 1960年(昭和35年)3月21日:豊川駐屯地に移駐[1]、第10特科連隊長が豊川駐屯地司令に職務指定[2]
  • 1962年(昭和37年)1月18日:師団改編に伴い、第2大隊を第5大隊に、第3大隊を第6大隊に改編。新たに第2大隊、第3大隊を新編。
※編成:連隊本部、本部中隊、第1大隊(軽砲)、第2大隊(軽砲)、第3大隊(軽砲)、第5大隊(中砲)、第6大隊(高射)
  1. 本部中隊情報小隊が情報中隊に改編。
  2. 第5大隊が155mmりゅう弾砲 FH70を装備。
  • 1991年(平成03年)3月29日:第6大隊が第10高射特科大隊として分離独立し、師団直轄となる。
  • 1996年(平成08年)3月29日:全大隊に155mmりゅう弾砲(FH70)が配備完了。
  • 2004年(平成16年)3月27日:
  1. 第4大隊及び第5大隊第12射撃中隊をコア部隊として編成。
  2. 後方支援体制変換に伴い、整備部門を第10後方支援連隊第2整備大隊へ移管。
  • 2014年(平成26年)3月26日:第10師団の即応近代化改編(即自訓練終了)に伴い、第4大隊・第5大隊を廃止[3]。155mmりゅう弾砲(FH70)が60門から30門に削減。
  • 2024年(令和06年)3月20日:部隊廃止により[4]、3月13日に連隊旗返還式を挙行[5][6]。廃止後は中部方面特科連隊第2大隊に再編。

警備隊区

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  • 三河地方18市町村
※岡崎市、豊田市、刈谷市、知立市、安城市、碧南市、高浜市、西尾市、みよし市、幸田町、豊橋市、豊川市、蒲郡市、新城市、田原市、設楽町、豊根村、東栄町

廃止時の部隊編成

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  • 第10特科連隊本部
  • 第10特科連隊本部中隊「10特-本」
  • 情報中隊「10特-情」
  • 第1特科大隊
    • 第1特科大隊本部
    • 本部管理中隊「10特-1-本」
    • 第1射撃中隊「10特-1-1」
    • 第2射撃中隊「10特-1-2」
  • 第2特科大隊
    • 第2特科大隊本部
    • 本部管理中隊「10特-2-本」
    • 第3射撃中隊「10特-2-3」
    • 第4射撃中隊「10特-2-4」
  • 第3特科大隊
    • 第3特科大隊本部
    • 本部管理中隊「10特-3-本」
    • 第5射撃中隊「10特-3-5」
    • 第6射撃中隊「10特-3-6」

整備支援部隊

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  • 第10後方支援連隊第2整備大隊特科直接支援中隊:2004年(平成16年)3月27日から

歴代連隊長

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歴代の第10特科連隊長
1等陸佐・豊川駐屯地司令兼補)
氏名 在任期間 出身校・期 前職 後職 備考
01 廣瀬榮一 1957.2.1 - 1958.5.1 陸士43期・
陸大52期
第3特科連隊 北部方面総監部幕僚長 元幹部学校長
廣瀬清一陸将の父[7]
02 原木敏雄 1958.5.2 - 1959.7.31 陸士46期・
陸大58期
陸上幕僚監部第1部総括班長 陸上自衛隊富士学校企画室長
03 高橋義彦 1959.8.1 - 1962.7.31 陸士47期 陸上自衛隊幹部学校教官 自衛隊愛知地方連絡部長 移駐・改編
04 篠田寿彦 1962.8.1 - 1964.7.15 陸士48期 陸上幕僚監部第4部後方計画班長 第6師団司令部幕僚長
05 馬來祥介 1964.7.16 - 1966.7.15 陸士53期 陸上幕僚監部第4部後方計画班長 陸上自衛隊幹部学校研究員 初代第1大隊長
06 加藤謙二 1966.7.16 - 1968.7.15 陸士51期 陸上幕僚監部総務課文書班長 相馬原駐とん地業務隊長 隊歌制定
07 安岡幸吉 1968.7.16 - 1970.3.15 陸士56期 自衛隊滋賀地方連絡部長 陸上幕僚監部第1部業務班長
08 石原常保 1970.3.16 - 1972.3.15 陸士56期 陸上幕僚監部第5部教材班長 陸上幕僚監部幕僚庶務室研究班長 市中パレード
09 菊本齊 1972.3.16 - 1974.3.15 陸士58期 第3師団司令部第3部長 中部方面総監部第2部長
10 近藤俊彦 1974.3.16 - 1975.7.15 陸士60期 統合幕僚会議事務局第3幕僚室 中部方面総監部第1部長
11 平岡浩實 1975.7.16 - 1977.3.15 海兵75期 陸上幕僚監部幕僚庶務室運用解析班長 第9師団司令部幕僚長
12 松井謙二郎 1977.3.16 - 1979.3.15 海兵76期 陸上自衛隊幹部学校研究員 陸上自衛隊少年工科学校副校長
兼 同校企画室長
13 合原博見 1979.3.16 - 1980.6.31 九州大学
昭和28年卒
陸上幕僚監部調査部付 自衛隊熊本地方連絡部長
14 佐藤十郎 1980.7.1 - 1982.8.1 防大1期 北部方面総監部防衛部訓練課長 陸上自衛隊幹部学校学校教官
15 松友正隆 1982.8.2 - 1984.7.31 防大1期 東北方面総監部調査部調査課長 陸上自衛隊幹部学校研究員
16 永井博 1984.8.1 - 1986.7.31 防大3期 陸上自衛隊幹部学校主任研究開発官 陸上自衛隊幹部学校学校教官
17 樋山周造 1986.8.1 - 1988.3.15 生徒3期・
防大8期
陸上自衛隊幹部学校研究員 陸上幕僚監部調査部調査第2課長 30周年・改編
18 瀬戸熊矗 1988.3.16 - 1990.3.31 防大8期 西部方面総監部防衛部訓練課長 自衛隊和歌山地方連絡部長
19 清水蔦男 1990.4.1 - 1992.3.31 防大10期 北部方面総監部防衛部訓練課長 自衛隊三重地方連絡部長 改編
20 高橋饒 1992.4.1 - 1994.7.31 防大11期 東部方面総監部人事部厚生課長 陸上自衛隊幹部学校主任研究開発官
21 山崎召三 1994.8.1 - 1996.12.15 防大12期 自衛隊愛媛地方連絡部長 第1師団司令部幕僚長
22 坂本恒雄 1996.12.16 - 1998.6.29 防大16期 西部方面総監部防衛部防衛課長 自衛隊佐賀地方連絡部長 元第1大隊長
23 君塚栄治 1998.6.30 - 1999.12.9 防大20期 陸上幕僚監部教育訓練部訓練課演習班長 陸上幕僚監部防衛部防衛課長
24 野末紀明 1999.12.10 - 2002.3.21 生徒16期・
防大21期
陸上幕僚監部防衛部研究課総括班長 陸上自衛隊幹部学校主任教官
25 向坊誠 2002.3.22 - 2003.12.4 防大23期 陸上幕僚監部教育訓練部教育課学校第1班長 情報本部
26 永井昌弘 2003.12.5 - 2005.12.4 防大25期 陸上幕僚監部人事部人事計画課企画班長 中部方面総監部防衛部長 改編
27 藤田穣 2005.12.5 - 2008.3.31 生徒20期・
防大25期
陸上自衛隊研究本部主任研究開発官 自衛隊三重地方協力本部長 50周年
28 權藤三千蔵 2008.4.1 - 2009.11.30 防大29期 陸上幕僚監部装備部開発課総括班長 陸上自衛隊研究本部主任研究開発官
29 岡本浩 2009.12.1 - 2011.7.31 防大31期 陸上幕僚監部人事部募集・援護課総括班長 東北方面総監部人事部長
30 山根寿一 2011.8.1 - 2012.7.25 防大33期 陸上幕僚監部防衛部防衛課防衛班長 陸上幕僚監部装備部装備計画課長
31 福元洋一 2012.7.26 - 2014.8.4 防大33期 統合幕僚監部総括副報道官 陸上自衛隊研究本部主任研究開発官 4大・5大廃止
32 上田俊博 2014.8.5 - 2016.7.31 東海大学
平成4年卒
陸上幕僚監部監理部総務課企画班長 陸上自衛隊富士学校特科部教育課長
33 伊藤久史 2016.8.1 - 2019.3.31 防大39期 陸上幕僚監部教育訓練部教育訓練計画課
制度班長
陸上自衛隊富士学校特科部教育課長
34 中村雄久 2019.4.1 - 2020.8.24 防大41期 陸上幕僚監部装備計画部装備計画課
企画班長
陸上幕僚監部人事教育部
人事教育計画課長
35 矢野秀樹 2020.8.25 - 2022.11.30 防大41期 陸上幕僚監部人事教育部募集・援護課
援護班長
陸上自衛隊教育訓練研究本部主任教官
與藤公彦 2022.12.1 - 2024.3.20 防大43期 陸上自衛隊富士学校主任教官 陸上総隊司令部報道官 部隊廃止

主要装備

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災害派遣

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国際貢献

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民生協力

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廃止(改編)部隊

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  • 第10特科連隊第2大隊:1962年(昭和37年)1月18日 第5大隊(全般支援大隊)に改編。
  • 第10特科連隊第3大隊:1962年(昭和37年)1月18日 第6大隊(高射大隊)に改編。
  • 第10特科連隊本部中隊情報小隊:1988年(昭和63年)3月25日 廃止。情報中隊に改編。
  • 第10特科連隊第6大隊:1991年(平成03年)3月29日 廃止。師団直轄の第10高射特科大隊に改編。
  • 第10特科連隊第4大隊:2014年(平成26年)3月26日 廃止。
  • 第10特科連隊第5大隊:2014年(平成26年)3月26日 廃止。

脚注

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  1. ^ 自衛隊年表(防衛庁長官官房広報課・1962)
  2. ^ 『官報』本紙 第9968号(昭和35年3月16日)
  3. ^ 平成25年度概算要求の概要(防衛省報道資料)
  4. ^ 第10特科連隊、67年の歴史に幕”. 東愛知新聞 (2024年3月14日). 2024年3月14日閲覧。
  5. ^ 陸上自衛隊 豊川駐屯地 [@CAMP_TOYOKAWApr] (2024年3月14日). "【部隊の活動状況】". X(旧Twitter)より2024年3月14日閲覧
  6. ^ 陸上自衛隊第10師団 [@JGSDF_MA_10D] (2024年3月24日). "【第10特科連隊 編成改組式】". X(旧Twitter)より2024年3月24日閲覧
  7. ^ 「日本陸海軍総合辞典第2版」(秦郁彦著)より

参考文献

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  • 豊川駐屯地 三河史料館
  • 『日本砲兵史 : 自衛隊砲兵過去現在未来』(陸上自衛隊富士学校特科会 編 1980.6)

関連項目

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外部リンク

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