紙加工業
紙加工業(かみかこうぎょう)は、一般に原紙を目的の用途に合わせて加工する業種の事を指し、印刷・製本等とは区別される。
沿革
[編集]太平洋戦争後、ダンボール製造では接着剤の耐水性を高めるなど[1]工夫などが施され、中小企業金融公庫が1960年代に輸出が優勢な日本経済界を支える下請会社を調査して、業界の動静を展望した[5]。好況は日本万国博覧会(1970年)以降、急転してニクソン・ショック、オイルショック(1973年–1977年と1978年–1983年)で貿易不均衡[6]の悪化を経験する。1980年代の沈滞[7]から1990年代にやや持ち直した時期がある[8][9]。海外移転は2013年時点ですでに加速していた[10]。
新技術の投入は活性炭を取り入れた製品開発[11]や、設備更新の課題にも対応する液体冷却式モーター[12]、オートスプライサの高速化によりコルゲート加工機の運転効率を高めたり[13]、また作業と保守のしやすさ、設置空間をコンパクトにする設備[14]など重工業方面の支援が見られる。
紙加工業の種類
[編集]- 段ボール業
段ボール業界は大きく3分野に分かれ、原紙を段ボールシートに加工するコルゲーター業者、段ボールシートを箱に加工・印刷する製函業者、その2工程を統合したコルゲーター・製函一貫業者に区分される。
日本の段ボール業界は[いつ?]コルゲーター業者が約350事業所、製函業者が約3000事業所となっている。
- タック加工業
タックとはいわゆるシールのこと[15]で、剥離紙・糊・上紙を下から順に乗せていき、1枚のシート状に加工する業種である。
- 製袋(せいたい)業
軽包装を担う軽包装製[16][17]は、百貨店等で使用される紙製の手提げ袋、把手のついていない保存用の袋など[注釈 1]に分類される。それに対し重包装製袋[19]は、セメント袋等の重量物の梱包用袋を生産する。
参考文献
[編集]脚注に使用。主な執筆者、編者の順。
- 近藤隆久 著「1.8 製袋・印刷機」、テックタイムス 編『最新紙加工便覧』テックタイムス、1988年8月。doi:10.11501/13637639。国立国会図書館書誌ID:000001935557。ISBN 4-924813-00-1
- 「1.8.1 大型製袋機」292頁-、「印刷機(製袋用)」
- 「1.8.2 小型製袋機」298頁-、「枚葉式製袋機」「角底製袋機」「亀甲貼製袋機」「フラットバッグ製袋機」「和洋封筒製袋機」
- 索引
- 「印刷製袋同時方式」「印刷製袋別々方式」「輪転製袋機」866頁
- 「長形封筒・角形封筒製袋機」874頁
- 実業界(編)「"秩序ある競争"で吐息つくダンボール業界 : 何事も協調第一と、悪夢からさめて活況みなぎる業界の実態」『実業界』10月1日第505号、実業界、1976年10月、36-41頁、doi:10.11501/2713816、国立国会図書館書誌ID:000000010055-d2713816。国立国会図書館蔵書。本タイトル等は最新号による。編者および出版者: 197号 (昭和38年3月) まで実業通信社。刊行頻度: 変更あり。
- 清水 雄一郎、亀島 欣一、中島 章、岡田 清「コルゲート構造を有した活性炭ボードの作製とその強度」『日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集』2004S第0号、公益社団法人 日本セラミックス協会、2004年、97-97頁、CRID 1390001205616483840、doi:10.14853/pcersj.2004s.0.97.0。
- 「紙・段ボール業界のアジア事業が加速 : レンゴーは東南アジアを開拓、王子製紙はインド強化」『Asia market review』第25巻第3号、重化学工業通信社、東京、2013年2月、CRID 1520854805364256000。
- 谷岡 隼「BWペーパーシステムズ仕上機械の技術革新プログラム」『紙パ技協誌』第72巻第5号、紙パルプ技術協会、2018年、CRID 1390845712979641472、doi:10.2524/jtappij.72.516、ISSN 0022-815X。
- 谷本 正継「冷却曲線法による正確なホットタックシール強度の測定法」『コンバーテック』第26巻第12号、1998年12月、53-57頁、国立国会図書館書誌ID:4623434。
- 東京都商工指導所(選)(編)「製袋業」『ファイナンス・ダイジェスト』臨時増刊 小資本で成功する商売の秘訣、大蔵出版、1952年9月、181-182頁、doi:10.11501/3561600、国立国会図書館書誌ID:5143195。10–296頁。
- 日刊経済通信社(編)『酒類食品統計月報』、日刊経済通信社、ISSN 0036-3332、NCID AN10052391、国立国会図書館書誌ID:000000009225。1969年、1巻1号(昭和34年3月)本タイトル等は最新号による。国立国会図書館蔵書。
- 津崎「2年連続不振のダンボール業界」第23巻第11号、1982年1月、doi:10.11501/2703779、国立国会図書館書誌ID:000000009225-d2703779。
- 津崎「需要回復、逞しいダンボール業界」第35巻12号(通号420号、1994年2月、doi:10.11501/2703924、国立国会図書館書誌ID:000000009225-d2703924。
- 津崎「5年連続の成長に挑むダンボール業界」第38巻12号(通号456号、1997年2月、doi:10.11501/2703960、国立国会図書館書誌ID:000000009225-d2703960。
- 中小企業金融公庫調査部(編)「経営ソフトリサーチ」『中小企業金融公庫月報』第13巻第3号、1966年3月、doi:10.11501/2247866、ISSN 0529-7052、NCID AN00390707、国立国会図書館書誌ID:000000015103-d2247866。
- 「《業界調査》ダンボール業界の問題と展望」10-20頁。
- 「主要販売先との関係からみた下請中小企業の現状と問題点」21-28頁。
- 「統計資料」29-38頁。
- 町田 誠之、西川 博康「段ボールコルゲートの接着剤の耐水性を測定する簡便な一方法について」『紙パ技協誌』第16巻第2号、紙パルプ技術協会、1962年、126-129頁、CRID 1390282681492642816、doi:10.2524/jtappij.16.126、ISSN 0022-815X。掲載誌別題『Mitsubishi Juko giho』
- 三菱重工業
- 藤原 謙二、佐藤 弘、清水 栄一「コルゲートマシン用高速オートスプライサの開発」『三菱重工技報』第28巻第4号、三菱重工業、1991年、382-386頁、CRID 1523388079637246208、ISSN 0387-2432。
- 紙工機械営業企画グループ「製品紹介 コルゲートマシン用新シリーズスリッタスコアラ"57H-V"」『三菱重工技報』第46巻第3号、三菱重工業 紙・印刷機械事業部 紙工機械部、2009年、24-25頁、NDLJP:3528135/1/1、 オリジナルの2009年11月4日時点におけるアーカイブ。ウェブサイトのアーカイブ版は国立国会図書館インターネット資料収集保存事業。
関連資料
[編集]本文の典拠ではないもの。
- 段ボール業界
- 日本生産性本部派遣渡米紙器・段ボール視察団 編『アメリカにおける紙器・段ボール業』全国紙器工業組合連合会、1972年。
- 西日本段ボール工業組合 編『段ボール業の現状とビジョン : 事業活動の合理化(小ロット化、多品種化、多様化及び短納期化への対応): 活路開拓調査指導事業報告書』西日本段ボール工業組合、1986年。
- 日刊板紙段ボール新聞社 編『紙器・段ボール業界関連企業名簿』日刊板紙段ボール新聞社、2016年。
- その他
- 繊維学会 編『産業用繊維材料ハンドブック』(日刊工業新聞社, 1994年)ISBN 4-526-03615-3、doi:10.11501/13644837、国立国会図書館書誌ID:000002374646。
- 「製袋用縫糸」341頁
- 「袋・包装材」4頁
- 奥田 敏光(著)、ぶぎん地域経済研究所(編)「インタビュー ダンボール業界でいち早く原価見積りソフト「ケースバイケース」を開発 自作のホームページで小ロット、多品種受注の新ビジネスモデルを構築 奥田敏光 株式会社アースダンボール代表取締役社長」『ぶぎんレポート』第154号、ぶぎん地域経済研究所、2012年4月、2-7頁、NCID AA11950608、国立国会図書館書誌ID:000000090588-i9772909。国立国会図書館蔵書、国立国会図書館書誌ID:000000090588は151号-161号合巻(ぶぎん地域経済研究所、2012.1-2012.120)。
脚注
[編集]関連項目
[編集]関連項目
[編集]- ^ 町田 & 西川 1962, pp. 126–129.
- ^ 中小企業金融公庫調査部 1966, pp. 10–20.
- ^ 中小企業金融公庫調査部 1966, pp. 21–28.
- ^ 中小企業金融公庫調査部 1966, pp. 29–38.
- ^ 「《業界調査》ダンボール業界の問題と展望」[2]、「主要販売先との関係からみた下請中小企業の現状と問題点」[3]、「統計資料」[4]。
- ^ 『実業界』 1976, pp. 36–41.
- ^ 津崎 1982, pp. 81–84, 「2年連続不振のダンボール業界」ISSN 0036-3332.
- ^ 津崎 1994, pp. 44–48, 「需要回復、逞しいダンボール業界」ISSN 0036-3332.
- ^ 津崎 1997, pp. 23–27, 「5年連続の成長に挑むダンボール業界」ISSN 0036-3332.
- ^ 重化学工業通信社 2013, pp. 18–21.
- ^ 清水 et al. 2004, pp. 97–97.
- ^ 谷岡 2018, pp. 516–518.
- ^ 藤原 & 佐藤|清水 1991, pp. 382–386.
- ^ 紙工機械営業企画グループ 2009, pp. 24–25, (1)紙のロスを減らし(2)作業性・保守性を高め(3)コンパクトな空間対応.
- ^ 谷本 1998, pp. 53–57.
- ^ 東京都商工指導所(選) 1952, pp. 181–182, 袋製袋業〈小資本で成功する商売の秘訣〉.
- ^ 近藤 1988, pp. 298-, 「1.8 製袋・印刷機§1.8.2 小型製袋機」(「枚葉式製袋機」「角底製袋機」「亀甲貼製袋機」「フラットバッグ製袋機」「和洋封筒製袋機」).
- ^ 特許庁ほか「第1章 特許からみた技術開発の動向(1)出願人全体1.2 包装機械の出願動向 §1.2.1 製袋充填機(1)全体の出願動向」『フィルム包装技術〈特許マップシリーズ 機械18〉』、特許庁、2001年、国立国会図書館書誌ID:1249085。
- ^ 近藤 1988, pp. 292-, 「1.8 製袋・印刷機§1.8.1 大型製袋機」.
関連項目
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