紫式部集
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『紫式部集』(むらさきしきぶしゅう)は、紫式部の和歌集。掲載された和歌の分析を通じて、紫式部の思想的背景、彼女が人生で感じていた不条理、虚無感といった生涯にわたる心理的変化を汲み取ることができる[1]。大きく二層に分かれ、前半生は人生に肯定感が強く明るい作品が多いが、後半生は否定的で荒涼とした作風が目立つ[2]。
テクストは基本的に、古本系をくむ陽明文庫本と定家本系をくむ実践女子大学本が伝わっている。また、前記の二底本より大幅に遅れて成立した別本系も存在する[3]。
原文の一部
[編集]和歌は伝本によって数首ていど異なるがおよそ120首が収められている
めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬまに 雲がくれにし 夜はの月かげ
見し人の 煙となりし 夕べより 名ぞ睦ましき 塩釜の浦
亡き人に かごとはかけて わづらふも おのが心の 鬼にやはあらぬ
ことわりや 君が心の 闇なれば 鬼の影とは しるく見ゆらむ
心だに いかなる身にか かなふらむ 思ひ知れども 思ひ知られず
脚注
[編集]- ^ 管野美恵子「紫式部集における恋歌と哀傷歌 (PDF) 」『同志社国文学』No.12 pp.30 - 43、同志社大学文学部、1977年3月
- ^ 山本淳子「紫式部の人生と源氏物語」NHK解説委員室
- ^ 原田敦子「紫式部集の原形 (PDF) 」『国文学攷』No.123、広島大学国語国文学会、1989年9月、pp.1-14