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走向傾斜マーク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
走向傾斜マークの例。走向はN30°W、東に45°の傾斜を示す。

走向傾斜マーク(そうこうけいしゃマーク、英語: strike and dip symbol[1])は地質図ルートマップを作成する際に用いる、走向[注釈 1]傾斜を記録する記号である。

記法

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1が走向、2が傾斜を表す

主にルートマップ作成時などにおいてクリノメーター等で計測したその走向と傾斜を記録するために用いられ、場合によっては完成した地質図においても記される[1]。ここで傾斜は観測地点から見て層が低くなっている方向を記録する。

日本においては鹿野 et al. (2000)においてその記法が示されており、走向は適当な長さの実線、傾斜方向はその中点から直交する短い実線で示すとされている。また逆転層を示す際は傾斜方向を示す線を右回りで実際に傾斜している方向にすることによって、水平層を示す際は東西南北に合わせた線の長さが等しい十字型で表すことが可能とされている。しかし、後者については鉱徴地[注釈 2]と紛らわしいため地質調査所(現在の産業技術総合研究所地質調査総合センター)は避けているとしている[3]:667

名称

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本項では名称を「走向傾斜マーク」としたが、日本国内においてこの名称を使用している例は情報地質学の論文[4]において確認できるものの他の呼称も存在する。例としては2009年に発行された啓林館の地学I教科書や坂 (1993)は「走向・傾斜の記号」としており[5][6]、この語は地球科学分野の論文にも見出すことが出来る[7]。1970年代の論文では「走向傾斜を表示するマーク」とする表記もある[8]

注釈

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  1. ^ : strike、地層における面と水平面との交線のこと[2]
  2. ^ 鉱床が存在することを示唆する鉱石が観察可能な場所のこと。詳細はwikt:鉱徴を参照。

脚注

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  1. ^ a b Mapping Geologic Structures (Part 1)”. Geology of Virginia CD-ROM for Web. ラドフォード大学 (2014年). 2020年9月6日閲覧。
  2. ^ 走向」『日本大百科全書』https://kotobank.jp/word/%E8%B5%B0%E5%90%91コトバンクより2020年9月6日閲覧 
  3. ^ 鹿野和彦; 星住英夫; 巖谷敏光; 酒井彰; 山元孝広; 牧本博; 久保和也; 柳沢幸夫 et al. (2000). “地質図に用いる用語,記号,模様,色及び凡例の表示に関する基準とその解説” (PDF). 地質調査所月報 51 (12): 657-678. NAID 10012348396. https://www.gsj.jp/data/bull-gsj/51-12_04.pdf 2020年9月6日閲覧。. 
  4. ^ 梶山敦司、居川信之、塩野清治「野外調査データを用いた地質境界面推定データ作成プログラム『Georiginer』の開発」『情報地質』第16巻第4号、2005年、225-234頁、doi:10.6010/geoinformatics.16.225ISSN 1347-541XNAID 110002975540OCLC 5172304517NCID AN0036643X 国立国会図書館書誌ID:77842772020年9月6日閲覧 
  5. ^ 第2節 地層と化石”. 地学I 改訂版. 啓林館 (2009年). 2019年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月6日閲覧。
  6. ^ 坂幸恭 (1993). 地質調査と地質図. 朝倉書店. ISBN 978-4-254-16234-9. NCID BN09040677. OCLC 47344393. 国立国会図書館書誌ID:000002244409 全国書誌番号:93037481 
  7. ^ 佐藤ひかる、宮地良典、平社定夫、福島第一原発地質・地下水問題団体研究グループ「福島県南相馬市南部に分布するチャネルを埋積した鮮新 ―更新統大年寺層上部D4ユニットの未固結砂層」『地球科学』第73巻第1号、地学団体研究会、2019年、15-20頁、doi:10.15080/agcjchikyukagaku.73.1_15 
  8. ^ 高谷精二, 山本徹「西ノ川地すべりの微地形と粘上のX線分析」『地すべり』第8巻第3号、日本地すべり学会、1972年、13-18頁、doi:10.3313/jls1964.8.3_13ISSN 0285-2926NAID 130001007942 

関連項目

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外部リンク

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