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針葉樹

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
針葉樹の代表格であるヒノキ人工林

針葉樹(しんようじゅ、: conifer)は、のように細長く堅い、マツスギなどの裸子植物球果植物門樹木のこと[1]広葉樹対義語。多くの樹種がマツやスギのような針状の葉を持つために針葉樹と名付けられているが、披針形~広披針形の葉をつけるイヌマキナギの類や、非常に小さな鱗片状の葉を密生するヒノキの類も含まれるため、一概に「針状の葉」というだけで外形的に識別・分類することはできない。

常緑性常緑針葉樹落葉性落葉針葉樹がある。カラマツメタセコイアなどを除いて常緑性である。

自然に形成された針葉樹林があるほか、ヒノキ、スギ、カラマツなどの木材に適しているため林業の対象となり、人工林が造成されている[2]

外来種を中心とした園芸用の針葉樹はコニファーと呼ばれる。

分類

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針葉樹が地球上に出現したのは約3億年前とされる[3]。被子植物である広葉樹の出現よりも古く、球果仮道管といった原始的な形態をとどめている[3]中生代(2億5000万年前から6550万年前まで)までは、裸子植物の針葉樹が地上の植物の大部分を占めていたと考えられる[4]。ところが光合成能力が高く繁殖力に優る被子植物が出現すると、地球上の植物は広葉樹がその生育域を広げるようになり、針葉樹は沿海地域や高山、寒冷地などの厳しい環境に追いやられる結果となった[4]

地球上に現存する針葉樹は約600種が知られている[3]。日本には約40種が知られ、中でもコウヤマキアスナロスギの3種は日本固有種である[3]

形態

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多くは常緑樹であるが[4]、カラマツやヌマスギなどの落葉樹もある。ハイネズなどの低木も多数存在する。

針状の細長い葉、または鱗状の葉を持つものはほとんどで、比較的、葉は細くて小さいものが多く、鱗状葉、針形葉、線形葉といった形態を持つ[3]。こうした葉の形は、気候的な寒さや積雪、乾燥に耐え、効率よく日光を浴びて光合成できるように進化してきたものと考えられている[3]。葉のつき方は、鱗状葉が十字対生、針形葉が単生あるいは短枝に束生、線形葉では羽状につくものが多い[3]

マツ属やスギ属などがつくる球果は多くの針葉樹の特徴の一つで、特にマツ属の球果は、一般に「まつぼっくり」と呼ばれている[5]。中に種子を入れているので球果植物ともいう[3]。木質化した軸に多くの種鱗がらせん状にたくさんついたもので、はじめ種鱗はかたく閉ざしているが、成熟して乾燥すると開いたり剥がれ落ちて、種子を放出する[5]

分布

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温帯北部から冷帯を中心に分布していて、亜寒帯では針葉樹林を形成する場合があり[4]、特に高緯度地帯にはタイガとよばれる広大な針葉樹林帯を形成している[3]。沿海地、貧栄養地、乾燥地、冷涼地・寒冷地など厳しい環境に分布する[4]

人間との関わり

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木材(針葉樹材)は繊維が長く緻密であり、建材パルプ用材などとして利用される[6]カヤ種子は食用とされる。

エリートツリー

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日本林野庁や木造住宅会社、製紙会社などは、成長が速く、温暖化ガスである二酸化炭素(CO2)の吸収量が多く、花粉が少ないといった優れた特性を持つ樹木を「エリートツリー」と呼び、選抜・育成と植林を進めている[7]。主な樹種としてスギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツアカエゾマツがある[8]ごみ。

脚注

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  1. ^ 日本の森林の話①~針葉樹林と広葉樹林、天然林と人工林”. 富士木材. 2023年2月8日閲覧。
  2. ^ 針葉樹人工林を広葉樹林にするには?」『やまなし林業普及通信』No.37/平成23年3月31日号(山梨県森林総合研究所)2024年2月4日閲覧
  3. ^ a b c d e f g h i 宮内泰之 監修 2023, p. 49.
  4. ^ a b c d e 宮内泰之 監修 2023, p. 311.
  5. ^ a b 宮内泰之 監修 2023, p. 317.
  6. ^ 1. パルプ製造”. 竹尾. 2023年2月8日閲覧。
  7. ^ [深層断面]エリートツリー 花粉半減/成長速く CO2吸収1.5倍/製紙・住宅など、苗木生産拡大日刊工業新聞』2023年11月10日32面
  8. ^ 2022年度 森林総合研究所公開講演会「ネットゼロエミッション達成のための森林の役割」エリートツリーの開発・普及と森林吸収源(2022年11月1日更新)2024年2月4日閲覧

参考文献

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  • 宮内泰之 監修、成美堂出版 編『見わけがすぐつく樹木図鑑』成美堂出版、2023年5月20日。ISBN 978-4-415-33237-6 

関連項目

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