メドピアでエンジニア/マネージャーをしている濱田 (@yut_h1979) です。
昨年末から半年以上かけて、「EM勉強会」(エンジニアリングマネジメント勉強会) と題した『エンジニアリングマネージャーのしごと』の輪読会を実施しました。これがとても良い取り組みになったので、その経緯や内容について共有しようと思います。
目次
1. なぜやろうと思ったのか?
メドピアの組織拡大に伴う課題感
ここ数年でのメドピアの組織拡大に伴い、「マネジメント人材の育成/拡充」が課題であると自分は感じていました。
一定以上の規模に成長した開発組織では、エンジニア個々人の技術力だけではなく事業部との協働なども含めた開発組織の総合力 (生産性) を上げられるような「マネジメント人材」も一定以上必要になってくる、そして現状ではここがボトルネックになっている、という課題感です。
EM学習に最適な書籍との出会い
そんな中、昨年の秋口に『エンジニアリングマネージャーのしごと』という書籍に出会いました。この書籍は下記の点が素晴らしく、学習に最適であると感じました。
- これまで自分が学習・経験してきた「EM (エンジニアリングマネジメント) のノウハウ」が、網羅的・体系的に言語化されている
- EMに関するトピックが、「心構え・姿勢」といった精神論ではなく「メソッド・テクニック・スキル」といった実践論的に書かれている
- 「他者とのコミュニケーション」「タスクの委譲」「プロジェクトマネジメント」など、マネジメント職でなくても役立つトピックが多く記載されている
さらに、メドピアでは「テックサポート」という学習・スキル向上のための制度があります。そこで「この書籍を使って勉強会をやると良いことが起こりそう!」と感じ、「EM勉強会」を提案・実施するに至りました。
2 . 勉強会の始め方と進め方
勉強会ニーズの把握
「EM勉強会をやると良いことが起こりそう!」と自分が感じていても、それが独りよがりだと意味がありません。そこで、自他部門のEMやメンバーに事前ヒアリングを行い、本勉強会のニーズを探りました。その結果、「おおー良さそう!」「いつからやるの?早くやりたい!」といった反応を頂けたので、「よし、イケる!」という感触を得ることができました。
Slackチャンネルの開設と導入
「EM勉強会」の開始にあたり、まずは勉強会用のSlackチャンネルを作ることにしました。そして全エンジニアが入っているSlackチャンネルにて勉強会用Slackチャンネルの開設と「EM勉強会」の実施日時について案内し、興味あるメンバーに勉強会 and/or Slackチャンネルへの参加を促すようにしました。
読書ペースと進め方の決定
アジャイル開発でもプロジェクト推進でも、「結果の一部から全体を予測する」ことは肝心であると考えます。
そこで、勉強会の第一回では参加者と今後の進め方を相談しつつ、実際にみんなで「読書ペース」を計測しました。その結果、だいたい「15分で5ページ前後 ≒ 30分で10ページ前後」ということが分かったので、そこから次回以降の進行ペースと進め方を決定しました。
- 一回の範囲:10ページ前後
- 10数ページの章は1回で読み切る
- 15ページ超の章は2回に分ける
- 前半約30分:読書&呟きタイム
- 黙々会的にその日の範囲を読み進める
- その中で気になった箇所や意見/感想などをSlackに適宜呟く
- 後半約30分:深掘り&議論タイム
- Slackに呟かれた内容をピックアップし、みんなで深掘る
3. 工夫点と留意点
予習不要でハードルを下げる
『エンジニアリングマネージャーのしごと』は、300ページ超のボリュームを持つ書籍です。一回に10数ページの進行ペースだと、読み終えるのに「26回」、週一開催だと「約7ヶ月」という長丁場になることが分かりました。そこで、参加者が途中で脱落しないようにハードルを極力下げる配慮が必要と考え、事前の予習は不要としました。
内容をSlack上でオープンにする
勉強会はGoogle Meetで実施しましたが、前半30分の呟きと後半30分の深掘りや議論など、勉強会の内容はすべてSlackチャンネル上でオープンにしました。深掘りについてはSlackのスレッド返信で行うようにし、Google Meetのチャットコメントや口頭での意見も極力Slackに転記するようにしました。このようなやり方にした狙いは以下の通りです。
- ワイワイ盛り上がっている感が出る
- 欠席者/未参加者も内容を簡単に追える
- 勉強会後の追加コメントも簡単に行える
「次回予告」で興味を惹く
先述の通り、本勉強会は「26回」、週一開催で「約7ヶ月」という長丁場になります。そこで、次回への期待を持たせて参加継続率を高める目的で、勉強会終了時に「次回予告」を行うようにしました。
「次回予告」のコンテンツは オライリー書籍ページの目次情報 をコピペすれば良いので簡単でした。また、これには「次にどこまで読めば良いかを事前に把握できる」という効果もありました。
4. やってみてどうだったか?
興味ある人が想像以上に多かった
本勉強会を始めるまでは、事前にニーズ把握はしていたものの「果たしてどれくらいの人が参加してくれるだろうか…?」という懸念がありました。しかし蓋を開けてみれば、勉強会には常時10名前後が参加し、勉強会用のSlackチャンネルには30名以上が参加してくれました。勉強会を始めた時期 (2022年後半) のメドピアのエンジニア総数は約80名 なので、割合としてもかなり多くのメンバーが興味を持ってくれたということになります。
もしかしたら、勉強会の内容をSlack上でオープンにしていたことも良かったのかも知れません。実際、最初はSlackチャンネル参加だけしているメンバーから「自分も勉強会に参加したい!」というケースも一定数ありました。
様々な立場からの議論ができた
本勉強会には前職からマネジメント経験のあるメンバーやマネジメント未経験者など、多様なバックグラウンドを持つメンバーが参加しました。そのため、同じトピックでも興味のある部分が異なったり、マネジメントする側でなくマネジメントされる側ならではの意見が出たりなど、様々な立場からの議論ができました。
また、マネジメント経験者からは書籍の内容を補強するような参考情報も随時頂けたりしました。こういった体験は一人で本を読む場合では得られないと思うので、本勉強会は自分を含め参加者にとって非常に有意義な場になったと思います。
事業部メンバーからも反応を頂けた
さらに本勉強会は、エンジニアだけでなく事業部メンバーからも興味を持って頂けました。個人的にも本勉強会を通じて、『エンジニアリングマネージャーのしごと』の内容の一部 (というか半分くらい) は「職種を問わず通用するマネジメントの基礎になり得る」という実感を持ちました。そこで現在は、本書の内容をピックアップした「ビジネス職向けのマネジメント勉強会」を企画中で、近いうちに実施する予定でいます。
最後に、参加したメンバーからの全体感想を抜粋で紹介します。
- 『エンジニアリングマネージャーのしごと』、めちゃめちゃ良い本だなと思った
- エンジニアリングマネージャーのいろんな観点を理解できて良かった
- 本の内容だけでなく、参加者の経験談とか感想とかも聞けたのが良かった
- 自分の欠席時も、Slackをあとでキャッチアップできて良かった
- 総じて、一人で本を読むのとは違った体験ができた
5. まとめ
以上、メドピアで実施した「EM勉強会」(エンジニアリングマネジメント勉強会) の取り組みについて共有しました。マネジメントは唯一解が存在しない難しい世界ですが、だからこそこういった勉強会を通じて様々な知見や学びを得るのは意義深いことであると考えます。
本エントリが、マネジメントや勉強会運営に際して何らかの参考になれば幸いです。
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