百田尚樹氏・河村市長らの政治団体、名古屋城木造復元を重点政策に

寺沢知海
[PR]

 作家の百田尚樹氏が代表を務め、名古屋市河村たかし市長が共同代表に就任した政治団体「日本保守党」が、重点政策の一つとして名古屋城天守の木造復元を掲げている。河村市長は18日、名古屋市内で報道陣の取材に応じ、「他の城でも木造復元という考えを広めたい」と語った。

 日本保守党は17日に結党会見を開き、重点政策項目を発表した。「日本の国体、伝統文化を守る」という項目では、皇室典範の改正やLGBT理解増進法の改正と並べて、「名古屋城天守閣の木造復元完遂」と明記した。

 河村市長は記者から「国体を守るというのは、戦前回帰では」と問われ、「あれがいかん、これがいかんと言っていたらできーせんよ」と答えた。

 名古屋城天守の木造復元を重点政策項目に入れるよう百田代表らに要請した際、「私もやりがいがあるし、名古屋の人も喜ぶ」と伝えたとも話した。

 名古屋城天守の木造復元構想は、河村市長が2009年の初当選当初から意欲を示してきた看板政策だ。「史実に忠実な復元」を主張する。

 今年6月、天守の木造復元をテーマにした市主催の市民討論会で、バリアフリーの充実を求めた障害者に対し、他の参加者から差別発言が相次いだ。会場にいた河村市長は差別発言を止めず、その対応に批判が集まっている。

 市はこの問題の検証が終わるまで復元計画をストップさせており、木造天守が完成する見通しは立っていない。「史実に忠実」か「バリアフリー」か。名古屋のシンボルをめぐり、市民間で分断を招いている。(寺沢知海)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【秋トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら