第2回「ロシアが怖いのか」 被団協が廃絶訴えた核 今、戦争膠着の要因に

有料記事緊急連載 ノーベル平和賞 被団協に

杉山正=キーウ 喜田尚 花房吾早子
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 黒く焼け焦げた建物の前で、住民のナディア・ゼムスコワさん(67)が泣いていた。今年2月、ウクライナの首都キーウ。集合住宅がミサイルで攻撃され、4人が亡くなった。

 家、学校、病院、駅、教会――。ロシアの侵攻が続く2年半余り、前線から遠く離れた場所へも何千回と攻撃が繰り返されてきた。そして、市民が殺され続けてきた。

 「なぜ国際社会はロシアを止められないの? ロシアが怖いから?」。ゼムスコワさんはそう言って、破壊された自宅を指さした。

 ロシアが怖いから、私たちへの支援をためらうのか――。ウクライナの人々が何度も口にしてきた、欧米の支援国への問いかけだ。

 国境から数百キロも離れた上空から発射されるミサイルが、ウクライナ各地に大きな被害をもたらす。ロシア領内奥深くの軍事拠点を攻撃しなければ国民の命を守れない。だが、最大の支援国である米国は今も、提供兵器をこうした攻撃に使うのを認めていない。

 背景にあるのは、核の存在だ…

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この記事を書いた人
喜田尚
国際報道部
専門・関心分野
欧州、旧ソ連地域、民主主義、難民問題など人間の安全保障
花房吾早子
大阪社会部|平和・人権担当
専門・関心分野
原爆、核廃絶、ジェンダー、LGBTQ+
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