日本社会に深刻な影を落とす少子高齢化。県都・岐阜市も例外ではなく、公立小学校の児童数は過去20年間でおよそ4700人減少しています。ただ、視点をもっと細かく、小学校区に合わせてみると、その様相はまだら模様。児童数の減少が著しく、学校統合を迫られた地域がある一方、教室数の確保が大変なほど児童が増えている学校もありました。その違いは一体どこからきたのでしょうか。今、岐阜市で若い世代に人気があるエリアとは果たして。

■6校は児童数が増加

 次に示すのは、県の統計を基にした岐阜市の公立小学校の児童数の推移です。2005年度から24年度までの増減率を算出したところ、マイナスが40校に上り、やはり少子化傾向が強く表れています。中には児童数が3分の1程度になった学校もあります。

 
【上記グラフについて】
[replay] ボタンをクリックすると繰り返し動くグラフを見ることが出来ます。
[Scores] 生徒数を表します。
[Ranks] 46校中の順位を表します。
動くグラフの各校区の線をタップすると、その校区だけ目立たせることが出来ます。
※グラフの注意点は記事末尾に。

 一方で、6校はプラスとなりました。増加率トップの鶉小は200人以上、2位の茜部小は140人ほど増えており、岐阜市教育委員会によると、特別室を学級用に転換するなどして対応しているそうです。

 

 この増減率を地図上に示してみました。すると、プラスの学校は市の南部に集中し、マイナス幅が50%以上の学校は主に北西部と東部に位置していました。どうやら地域性が児童数の増減に大きく影響していそうです。

■北西部、東部の児童が減少

 さらに詳しく見てみましょう。まずは減少幅の大きかった学校について。

 最も児童の数が減ったのは71%減の網代小でした。減少率4番目の方県小とともに市の北西部にあります。いずれも小規模校で、現在の全校児童数は100人を下回っています。

網代小学校。周囲には田園や山が広がる=岐阜市秋沢

 豊かな自然の中で学べる両校ですが、市の中心部までは車で30分ほどかかります。学校存続への懸念もあるなか、三輪北小を加えた3校によるオンライン合同授業でコミュニケーション能力を育むなど、小規模校ならではの取り組みに力を入れています。

■義務教育学校を新設へ

 2005年度比67%減と、マイナス幅が2番目で並んだ芥見東小と藍川小。ともに市東部に位置しており、北西部の2校とは違う事情を抱えているようです。05年度時点では芥見東小660人、藍川小402人という規模であった分、減少数は443人、269人という多さです。

丘の中腹にある芥見東小学校。丘の上には団地が広がる=岐阜市大洞桜台

 実はこの2校には、もともと芥見小から分離した歴史があります。昭和40年代、この地域に公営の大規模な団地が形成され、団塊の世代らが一気に流入したという背景があるのですが、現在はその世代が高齢化し、子や孫らは就職や進学で地域外へ出る傾向にあり、大幅な減少を生んでいるようです。

 市教委はこの状況を受け、25年度に藍川小と藍川北中、26年度に芥見東小と藍川東中をそれぞれ一体化し、義務教育学校を新設することを決定しています。

■ドーナツ化で中心部は学校再編

 すでに学校再編が行われた地域も存在します。2008年度に金華小と京町小が統合して岐阜小に、12年度には明徳小と本郷小が明郷小に、17年度には徹明小と木之本小が徹明さくら小に生まれ変わりました。また、白山小と梅林小も統合を視野に調整が進んでいます。

 これらの学校はいずれも市中心部にあり、高度成長期から続く居住地の郊外化、いわゆるドーナツ化現象を背景に、児童数は減少の一途をたどっていました。学校同士が近接していたこともあり、学校規模の適正化を図るため、統合の判断となったようです。

■児童数増の要因は三つ

 さて、ここからは児童数が増えている学校について見ていきます。...