4年ぶりの日本一に向けたソフトバンクのCSファイナルの戦いがいよいよ2日後に迫った。

王球団会長も見守る中、チームはこの日、本拠地みずほペイペイドームで全体練習。スクイズやエンドランなど実戦形式のシート打撃も行われ、山川、近藤には1発が飛び出した。今季最終戦となった4日のロッテ戦から半月もチームは実戦から遠ざかっている。待つ身の1位は調整が難しい。

24年前の10月13日。「炎の中継ぎ」と呼ばれたダイエー藤井将雄投手(享年31)が天国に旅立った。王会長もしっかり覚えていた。「今日はそうだったね。(CSファイナルは)彼のためにも頑張りましょう」。王さんは両手で気合のガッツポーズを作った。

藤井は99年、王ダイエーが初優勝&初日本一の立役者となった1人。篠原、ペドラザとともに「勝利の方程式」としてシーズン59試合に登板。3勝1敗、3セーブの数字を挙げ、リーグ最多の26ホールドをマークした。肺がんのため00年は、絶望的と言われた実戦復帰も驚異的な回復を見せ2軍戦に登板。リーグ2連覇を果たしたチームを見届け、息を引き取った。

CSクライマックス初戦となる16日は、00年に藤井の葬儀・告別式が行われた。故郷の佐賀・唐津市での葬儀には王監督らチーム全員がユニホーム姿で駆けつけた。弔辞を読む若田部(現1軍投手コーチ)の絶叫にも似た涙声が秋晴れの空に吸い込まれていった。2学年下の小久保も泣きながらひつぎを担いだ。もう今のホークスナインに藤井を知る選手はいない。それでも、選手ロッカー室には背番号「15」のユニホーム、使用したスパイクが飾られている。四半世紀近い時が流れても「魂」は受け継がれている。「そこがウチのいいところなんだよ。短期決戦は(細かいプレーの)場面が出てくるからね。いずれにしても『勇気』と『決断』は必要」と王会長は言った。1戦必勝の短期決戦。激闘に向け、天国の先輩も背中を大きく押してくれるはずだ。

パ・リーグ優勝を決めスタンドのファンにバンザイする村松有人(中央)、藤井将雄(左)らダイエーナイン(1999年9月25日撮影)
パ・リーグ優勝を決めスタンドのファンにバンザイする村松有人(中央)、藤井将雄(左)らダイエーナイン(1999年9月25日撮影)