育児休業給付金延長手続きの見直し案について(雇用保険部会資料より) | ハラスメント防止コンサルタント 社会保険労務士 大澤明彦の情報提供ブログ

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 厚生労働省は、9月22日に開催された「第183回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」の資料を公開しております。

 

 今回以下の資料が掲載されております。

資料1:育児休業給付等について 

資料2:「育児休業給付の給付率の引上げ」について 

資料3:育児時短就業給付(仮称) の創設について 

資料4:令和5年地方分権改革に関する提案事項について

 

 この中から、今回は、「資料4:令和5年地方分権改革に関する提案事項について」をご紹介させていただきます。

 

 

 まず、現在の育児休業及び育児休業給付の延長は以下のようになっています。

 

・育児休業は、労働者の雇用の継続を図るため、子が1歳に達するまでの間に労働者の申出により取得可能 (育児・介護休業法)。 

・育児休業中には、労働者が育児休業を取得しやすくし、労働者の雇用の継続を援助・促進するため、育児休業給付が支給される(雇用保険法)。

 

・保育所等における保育の利用を希望し申込みを行っているが、当面保育が実施されない場合などに、子が1歳(又は1歳6か月)に達する日後の期間に育児休業を取得する場合は、その子が1歳6か月(又は2歳)に達する日前の期間、育児休業給付金の支給対象となる。

 

 育児休業給付金の支給延長に係る受給資格確認手続きの見直しについて、指定都市市長会等から、こども家庭庁、厚生労働省に対し、以下のような具体的な措置についての要求がされました。

 

◎「保育所入所保留通知書」の取得といった育児休業給付の支給延長に係る受給資格確認手続きを見直し、入所意思がない者からの保育所等の入所申込みに対する入所選考等の事務負担が市町村に生じないようにすること。 

(例)

・延長制度を撤廃し、子が2歳に達するまでの間、支給可能とする 

・支給延長の申込みを受けたハローワークが、保育所等の利用状況を市町村に照会する 

・「保育所等を利用していない旨の証明」を以て、支給期間を延長する 

・申請を電子化し、保育及び支給延長の申請状況を連携させる 等

 

 その背景として、以下のような支障事例が記載されております。(一部抜粋、下線は筆者が加筆)

 保育所等の入所申込みの相談・受付を行う窓口に、「確実に保留になるためにはどのようにすればよいのか」という相談があった場合、入所意思のない者に対して制度の説明を含めて一から案内することになり、窓口対応に30分~1時間程度の時間が割かれるほか、保護者の意に反して入所内定となった場合は苦情も多く、その対応に時間を要している。そのため、真に保育所の利用を必要とする保護者の相談・受付や、保留者へのフォローアップなど、寄り添った対応をするための時間の確保を難しくしている。

 さらに、育児休業給付の延長を希望する入所意思のない方が保育所に内定した場合、辞退されることが多く、 真に保育所への入所を希望する方が入所できないケースがある

 

 何回かの交渉を経て、以下のような見直し案が提示されております。

 

◎見直し案

 客観的に「保育所等の利用を申込んだこと」「当面入所できないこと」を確認することに加えて、「育児休業給付を延長しなければならない状態にあること」をハローワークが認定した場合に限り、延長を認めることとしてはどうか。 

 

・具体的には、復職の意思や復職のために保育所等を利用する必要性などについて、本人からの申告に基づき判断することとし、申告書には、入所申込み及び結果に関する事項(例えば「入所申込年月日」、「入所申込先の市区町村名」、「入所希望保育所名」、「申込時における入所希望年月日」、「選考結果」など)の記載を求め、入所申込み及び結果に関する事項については、これらの事実を裏付ける書類を適宜添付することとする。

 

・書類が添付されていない場合や、添付された書類では記載された内容の確認には不十分である場合は、ハローワークから市区町村に直接事実関係を照会することとし、申告内容の確認ができない限り延長を認めないこととする。(当該運用に当たっては、市区町村に情報共有にご協力いただくことが不可欠)

 

 この見直しにより、単に入所保留通知書を提出するだけでは延長は認められないこととなり、市区町村が 住民から直接苦情を受けることや、住民による不適切な行動は減少することが期待される。

 

 資料は、以下よりご確認ください。

 

 

 私の個人的な見解を書かせていただきます。現行の育児休業の延長制度が正直、手続き面が緩すぎると思います。企業には、育児休業復帰後の原職復帰を原則として求めているのに対し、延長手続きは、入所不承諾通知1枚と会社に延長の申請書1枚出せばよいだけですから、正直、上記の支障事例で紹介されているような法の趣旨からは、育児休業の延長の対象とならない方も、形式的に要件が満たされれば、個人の内心など関係なく、最長2歳になるまで延長が認められてしまいます。こうした法の趣旨から逸脱した方であっても、その間、人手不足で大変な中、企業は原職復帰をさせるため、休業している方の席を空けて待っていなければならないわけで、これは企業や休業している方の業務を肩代わりしている同僚社員にとってはかなり酷なことだと思います。

 

 改正により、どれだけ効果が発揮されるかはわかりませんが、現行制度を修正する良い機会ではないかと私は考えます。

 

 最後に誤解のないように書きますが、出産により退職せずに、働き続けることを希望されていて、保育園に入所できれば、すぐにでも職場復帰をしたいと考えていらっしゃる方が、育児休業の延長制度を法の趣旨に沿った形で利用をされることについては、企業は全面的にバックアップすべきで、こうした方のサポートに行政の職員の方の時間が有効に活用されることを願います。

 

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