【関西の議論】〝神戸エイズパニック〟の教訓 「無知」と「流言」が混乱招く 自殺未遂にノイローゼ…次なるパンデミックに生かせるか 「国際都市に〝招かざる客〟」「ネオン街に衝撃」。センセーショナルな見出しが新聞紙面に躍ったのは、30年前の昭和62(1987)年1月18日。日本で初めて女性のエイズ患者が神戸市で確認された翌日のことだった。エイズは同性間の性交渉で感染するといわれていた当時、同性愛者ではない患者が出たことが分かり、国内に空前のパニックを引き起こした。近年もデング熱やジカ熱、エボラ出血熱といった新たな感染症が世間をにぎわせ、その度に社会に不安が広がる。パンデミック(感染症の世界的流行)が日本を襲ったとき、私たちはどう向き合えばいいのだろうか。 過熱した報道 「普通の生活をしていれば、感染するおそれはありません」 62年1月17日、日本初の女性エイズ患者の確認を発表した記者会見の場で、