私自身もそうであるように、編集者には古本好きであることが結果として仕事につながっている人がいる。なかでも、会社じたいが古本マニアの巣窟ではないかと疑われるのが国書刊行会だ。絶版になった本や稀覯本を資料として、復刊、アンソロジー、全集などを刊行している。 今回はその国書刊行会の若手代表(?)として、伊藤嘉孝さんに話を聞いた。同社で武術、民俗学、考古学などの本を企画し、新しい路線をつくっている。 「これまでの古本との付き合いが、すべて仕事につながっている気がします」と語る伊藤さんに古本遍歴を聞いた。 伊藤さんは1978年、岩手県盛岡市生まれ。父は銀行員。両親との3人家族。 「父が40歳を過ぎて生まれた一人っ子だったので、甘やかされました。両親は本はあまり読みませんが、本はいいものだという思いがあって、私には自由に本を読ませてくれました」 小学校に入ると、近所にあった〈高松堂書店〉に通う。店の床