「洋服のショップでは『どんなものをお探しですか』と声がかかるし、寿司屋さんでは『今日はマダイ、いいのが入ってますよ』と案内される。本屋さんも、そんなふうだったら面白いのにね」 飲み屋で、日刊ゲンダイの読書面デスクからそんな話が出たのがそもそものきっかけである。町の本屋さんを訪ね、連載したミニルポが、晴れて一冊になった。 この本に登場するのは、東京と近郊の古書店85軒(と専門図書館32軒)。 ・2代目、3代目が店主の老舗古書店 ・「就職しないで生きるには」的に始め、20~40年の古書店 ・近年開業したニューウェーブ的な古書店 おおよそこの3種類だが、図らずも、店主の個性がモノを言う、ひとクセもふたクセもある古書店ばかりだ。 明治40年創業の秦川堂書店(神保町)には、都道府県別の古地図がずらり。3代目店主が、「“使える古地図”の量はウチがたぶん日本一」とおっしゃり、「入門者におすすめ」と、全国