日本古来の食の良さを啓蒙。著書に『厳選日本酒手帖』(世界文化社)、『ゼロから分かる!図解日本酒入門』(世界文化社)など。 新日本酒紀行 バックナンバー一覧 「風通しが良いと稲は病気に強く、何事にも縁起が良い。追い風だともっと良い(笑)」と白井酒造店の9代目の白井栄一さん。 蔵が立つ会津美里町は会津盆地の南端、優良米の産地で豪雪地帯だ。山間部で昼夜の寒暖差があり、日照時間は長く、雪解けのきれいな水が豊富。近くには博士山を源とする宮川が流れる。農家は研究熱心な人が多い。 栄一さんは、1994年に福島大学を卒業し実家の酒蔵に就職。だが、その直後に父が逝去してしまう。 当時は地元用の酒「萬代芳」が主で、年々売り上げが減少。酒に特徴を出すには地元産の酒米だと閃き、農家を探すが見つからない。思い悩んでいるときに、有機栽培農家の児島徳夫さんと知り合う。 児島さんは元英語教師で環境運動から農業の道へ進み、