非国民通信

ノーモア・コイズミ

病気の子供はいないのか

2008-02-26 23:19:18 | ニュース

全盲装い生活保護 詐欺容疑で無職男逮捕 札幌(北海道新聞)

 運転免許の更新時に視力検査に合格しながら、全盲状態と偽って生活保護費の障害者加算分を不正受給したとして、札幌南署は二十五日、詐欺の疑いで、札幌市南区石山一の八、無職丸山伸一容疑者(50)を逮捕した。

 調べでは、丸山容疑者は昨年十一月から今年二月までの間、一定の視力があって視覚障害一級(全盲状態)の障害者手帳を持つ資格がないにもかかわらず、同市から生活保護の障害者加算分約十六万五千円を受け取り、だまし取った疑い。

 調べに対し、同容疑者は「自分は目が見えない」と容疑を否認している。

 生活保護の受給資格者の約1割が生活保護を受給し、その約1%が不正な受給者と見られています。不正受給者一人に対し、正当な受給者が99人、受給資格があるのに受給できない人が900人程度いる計算になりますが、新聞に登場するのはいつだって一人しかいない方です。貰えるべきものが貰えないことは問題ではないが、貰えることは許せないと、そんなところでしょうか。

 不正受給と言っても、その大半は収入増や健康状態の改善など支給額を減額される要因を申告しなかったことによるもので、こうした絵に描いたような不正受給者は本当にレアな存在なのですが、それゆえにこそニュースバリューもあるのでしょうか。ともあれ、99.5%と言う驚愕の徴収率を誇る給食費には僅かに及ばないものの、生活保護も正当な受給率99%と言うほぼパーフェクトに近い数値を叩き出しています。ここまで審査を厳格化するために要したコストは不正な受給による損失額を大きく上回るでしょうから、経営的には無能さの露呈でもありますけれど。

耳を疑うような台詞を数人の方から聞きましたのでご報告を。もうエントリーを立ち上げる気力も残ってない。

「少女暴行事件があってさめさんの活動も絶好調だよね/追い風だよね」というもの。どうやら少女暴行事件により反基地運動全般が盛り上がり、私が得をする、との考えらしいです。

 某所からの引用ですが、沖縄の少女暴行事件で、反基地運動には好都合だろうと、そう考えている人がいるわけです。なるほど、誰にでも通じる知名度の高いケースを例として持ち出すことが出来れば、話が進めやすくなることはあります。ただ、被害にあった人間がいるのに、それを歓迎することなど到底できませんね。誰も傷つかない、初めから事件が起こらないことが、最も望ましいのです。

 一方で、生活保護の不正受給はどうでしょうか? 生活保護受給者に対してネガティヴなイメージを植え付けることに躍起になっている人にとっては、小躍りするようなニュースでしょうか? 統計上は有意な数値とは言えなくとも、こうした特殊な例が大々的に報じられることで、不正受給があたかも頻繁に見られるケースであるかのような印象が作られます。データを語れず個別の例を挙げて印象論で勝負せざるを得ない人にとって、こうした具体例が追加されたことは歓迎すべきことでしょうか? 怒っているフリをして、攻撃材料が出来たと、その実は喜んでいませんか?と。

 沖縄の少女暴行事件や自衛隊の衝突事故など、それによって被害に遭う人がいる、そうしたケースは発生しないに越したことはありません。一方で生活保護の不正受給のケースですが、この直接の被害者って存在するのでしょうか? 金額にすれば全体の1%に満たない不正受給による財政上の要因から、受給の機会が制限される可能性とはどの程度でしょうか? 存在しうるとしても、その数は不正受給者と同程度の僅かな数であり、その数百倍の人は、それとは別の要因で受給を阻まれているわけです。

 人が不幸な目に遭うことを望んでいるかどうか、こうしたケースを前にするとはっきり判別できます。人が健康であることに、人の目が見えることに怒りを露わにしている人は、いつだって本心では、人が不幸になることを願っています。それが社会保障受給者であろうとなかろうと、どちらでも同じことです。社会保障受給者が不健康でなければ納得できない、健康であることは許せないと、常日頃から他人を呪い続けている人がいるわけです。相手が誰であれ、目が見えるのであれば、それは見えないよりは結構なことなのですが。

 

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コメント (6)
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