ワルサーWA2000とは、ドイツのワルサー社が開発、製造したセミオートマチックスナイパーライフルである。H&K PSG-1と並ぶ高精度なセミオート狙撃銃であったが、西ドイツ(当時)当局での制式採用には至らず、少数の試作のみにとどまった。
概要
PLOのテロリストがイスラエル選手団を人質にしたいわゆるミュンヘンオリンピック事件の際、対応に当たった当局(バイエルン州警察)は十分な準備と装備、特に訓練された狙撃手とスナイパーライフルを投入できなかったためにテロリストの無力化に失敗し、犠牲者を拡大してしまった。この件への反省から当局は精度と速射性に優れるセミオートスナイパーライフルを要求し、この要求に答える形でワルサー社がトライアルに提示したのがWA2000である。
同じ要求に対しH&K社は自社のG3自動小銃をベースにしてPSG-1を開発したが、狙撃銃のベースに出来る自動小銃のラインナップを持たないワルサー社は一からセミオートマチックの狙撃銃を開発することになった。このためWA2000はブルパップのマガジン配置、一体成形されたサムホール付き木製ストックなどの近未来的な外観を持つ銃器としてデザインされた。
しかしWA2000はトライアルでPSG-1に破れ、バイポッドやフラッシュハイダーなどを簡易化した後期型も開発されたものの結果的に制式採用する国は現れなかった。精度面ではPSG-1に遜色はなく、高精度とセミオートマチックを両立させるがための高コスト化と重量増加はPSG-1にも共通する問題であったため、トライアルに破れた結果少数の生産にとどまったのを惜しむファンも存在する。
制式採用には至らなかった言ってみれば幻の銃ではあるが、独特の近未来的なデザインが画面映えすることもあって、映画やゲームなど娯楽作品にはしばしば登場する。
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関連項目
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