アンド・アイ・ラヴ・ハー
「アンド・アイ・ラヴ・ハー」 | |
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ビートルズ の シングル | |
初出アルバム『ハード・デイズ・ナイト』 | |
B面 | 恋におちたら |
リリース | |
規格 | 7インチシングル |
録音 |
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ジャンル | ラテン[1] |
時間 | |
レーベル | |
作詞・作曲 | レノン=マッカートニー |
プロデュース | ジョージ・マーティン |
チャート最高順位 | |
後述を参照 | |
「アンド・アイ・ラヴ・ハー」 | ||||||||||
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ジョージ・マーティン楽団 の シングル | ||||||||||
初出アルバム『A Hard Day's Night (United Artists)』 | ||||||||||
B面 | リンゴのテーマ | |||||||||
リリース | ||||||||||
規格 | 7インチシングル | |||||||||
時間 | ||||||||||
レーベル | ユナイテッド・アーティスツ・レコード | |||||||||
作詞・作曲 | レノン=マッカートニー | |||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | |||||||||
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「アンド・アイ・ラヴ・ハー」(And I Love Her)は、ビートルズの楽曲である。1964年に発売された3作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム発売『ハード・デイズ・ナイト』に収録された。レノン=マッカートニー名義となっているが、主にポール・マッカートニーによって書かれた楽曲。アメリカでは1964年7月20日にキャピトル・レコードより「恋におちたら」とともにシングル・カットされ、Billboard Hot 100で最高位12位を記録した。
1964年7月14日には、BBCラジオの番組『Top Gear』用にレコーディングが行われ、2日後に放送された。
曲の構成
[編集]曲の大部分のキーは、EメジャーとC#マイナーで、ソロの直前でFに転調し、Dメジャーのコードで終わる[2]。
「アンド・アイ・ラヴ・ハー」は、主にマッカートニーによって書かれた楽曲[3]だが、1980年の『プレイボーイ』誌のインタビューでジョン・レノンは、「ミドルエイトは僕が手伝った」と主張している[4]。ビートルズの音楽出版者であるディック・ジェームズは、レノンの主張を支持していて、レコーディング中にプロデューサーのジョージ・マーティンの提案によってミドルエイトが追加されたとし、「30分以内に2人は、とても商業的な曲にとても建設的な中間部を加えた」と語っている[5]。一方でマッカートニーは「ミドルエイトは僕…この曲は僕が書いた。ジョンはたぶんミドルエイトを手伝ってくれたと思うけど、彼は『僕の曲だ』とは言えないよ」と語っている[5]。
本作について、マッカートニーは「ラブソングだよ。特定の誰かに向けて書いたわけじゃない。タイトルは文節の途中から抜き出した。これは我ながら賢明だと思ったよ」と語っている[6]。マッカートニーは、ジョージ・ハリスンがギターリフを書いたことを明かしていて、「この曲に見事な変化をもたらした」と賞賛している[7]。
ジョージ・マーティンによるオーケストラ・アレンジ版が存在しており、1964年7月18日にB面に「リンゴのテーマ」を収録したシングル盤として発売された。いずれもユナイテッド・アーティスツ・レコードから発売されたサウンドトラック・アルバム『A Hard Day's Night (United Artists)』にも収録された。
レコーディング
[編集]「アンド・アイ・ラヴ・ハー」のレコーディングは、EMIレコーディング・スタジオのスタジオ2で3日をかけて行なわれた[8]。プロデュースはジョージ・マーティンが手がけ、レコーディング・エンジニアはノーマン・スミス、セカンド・エンジニアはリチャード・ラングハムが務めた[8]。
1日目
[編集]1964年2月25日の午後2時30分に、映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』のサウンドトラックのためのセッションが開始された。同日に本作が2テイク録音され、最後まで演奏されたのはテイク2のみであった[9]。しかし、ビートルズは「より軽いタッチにする」と判断[9]。1995年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』にテイク2が収録された[10]。
1日目のセッションでの担当楽器は、以下のようになっている[11]。
- ポール・マッカートニー - リード・ボーカル、ヴォックスのベースアンプAC 100に繋いだヘフナー・500-1(1963年製)
- ジョン・レノン - ヴォックスのギターアンプAC-50に繋いだリッケンバッカー・325(1964年製)
- ジョージ・ハリスン - ヴォックスのギターアンプAC-50に繋いだリッケンバッカー・360/12(1964年製)
- リンゴ・スター - ラディック社のドラムセット
2日目・3日目
[編集]1964年2月26日の午後7時から午後10までのセッションで、17テイク録音された[12]。このセッションの途中で、スターの担当楽器がドラムからボンゴとクラベスに変更されたが、メンバーは演奏に満足しなかった[12]。セッションが中断され、休憩に入った際にミドルエイトが書き加えられた[12]。ドキュメンタリー『ザ・ビートルズ・アンソロジー』のエピソード8にテイク11の短い断片が収録されており、演奏が止まる前にマッカートニーが「And if you saw my love, I'd love her [too]...」と歌っている[13]。
1964年2月27日の午前10時からのセッションで新たに2テイク録音された。テイク20でベーシック・トラックが作成され、テイク21でマッカートニーのダブルトラッキングされたリード・ボーカルがオーバー・ダビングされた[12]。
2日目と3日目のセッションでの担当楽器は、以下のようになっている[11]。
- ポール・マッカートニー - リード・ボーカル、ヴォックスのベースアンプAC 100に繋いだヘフナー・500-1(1962年製)
- ジョン・レノン - ヴォックスのギターアンプAC-50に繋いだギブソン・J-160E(1964年製)
- ジョージ・ハリスン - ホセ・ラミレス社のクラシックギター
- リンゴ・スター - ラディック社のドラムセット、ボンゴ、クラベス
ミキシングとリリース
[編集]「アンド・アイ・ラヴ・ハー」のモノラル・ミックスとステレオ・ミックスは、それぞれ2種類存在しており、いずれもテイク21から作成された。
モノラル・ミックス(3月3日作成)
[編集]3月3日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ1のコントロール・ルームで作成されたモノラル・ミックスで、プロデュースをマーティンが手がけ、レコーディング・エンジニアをスミス、セカンド・エンジニアをA.B.リンカーンが務めた[14]。
このミックスにおいて、マッカートニーのボーカルは基本的にシングルトラックとなっているが、一部フレーズではダブルトラックになっている。
このミックスは、6月9日にキャピトル・レコードとユナイテッド・アーティスツに送られ[15]、6月26日にアメリカで発売されたサウンドトラック・アルバム『A Hard Day's Night (United Artists)』(モノラル盤)に収録され[注釈 1]、7月20日に発売されたキャピトル編集盤『サムシング・ニュー』(モノラル盤)にも収録された[16]。映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』では、半音キーが下げられた音源が使用された。
モノラル・ミックス(6月22日作成)
[編集]6月22日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ1のコントロール・ルームで2つ目のモノラル・ミックスが作成された。プロデュースとレコーディング・エンジニアは1つ目のモノラル・ミックスと同じくマーティンとスミスだが、セカンド・エンジニアはジェフ・エメリックが務めた[17]。
このミックスでは、マッカートニーのボーカルが3番目のヴァースの冒頭の2行を除いてダブルトラックになっている。
このミックスは、7月10日にイギリスで発売された『ハード・デイズ・ナイト』(モノラル盤)に収録された[16]。
ステレオ・ミックス
[編集]「アンド・アイ・ラヴ・ハー」のステレオ・ミックスは、2つ目のモノラル・ミックスと同じ6月22日に作成された。2つ目のモノラル・ミックスと同じく、マッカートニーのボーカルが3番のヴァースの冒頭の2行を除いてダブルトラックになっている。
このミックスは、7月10日に発売された『ハード・デイズ・ナイト』(ステレオ盤)や、7月20日に発売されたキャピトル編集盤『サムシング・ニュー』(ステレオ盤)に収録された[16]。
なお、ドイツで発売された『サムシング・ニュー』には編集が加えられたステレオ・ミックスが収録されており、こちらではギターのリフが6回繰り返されている。このミックスは、1980年にアメリカで発売された『レアリティーズ Vol.2』にも収録されたが、CD作品には未収録となっている。
クレジット
[編集]※出典[18]
チャート成績(ビートルズ版)
[編集]週間チャート
[編集]チャート (1964年 - 1965年) | 最高位 |
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ベルギー (Ultratop 50 Flanders)[19] | 10 |
ベルギー (Ultratop 50 Wallonia)[20] | 11 |
US Billboard Hot 100[21] | 12 |
US Cash Box Top 100[22] | 14 |
カバー・バージョン
[編集]カート・コバーンによるカバー
[編集]「アンド・アイ・ラヴ・ハー」 | ||||||||||
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カート・コバーン の シングル | ||||||||||
初出アルバム『COBAIN: モンタージュ・オブ・ヘック〜ザ・ホーム・レコーディングス』 | ||||||||||
B面 | サッピー | |||||||||
リリース | ||||||||||
規格 | 7インチシングル | |||||||||
ジャンル | フォークロック | |||||||||
レーベル | ユニバーサル | |||||||||
作詞・作曲 | レノン=マッカートニー | |||||||||
チャート最高順位 | ||||||||||
後述を参照 | ||||||||||
カート・コバーン シングル 年表 | ||||||||||
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カート・コバーンによるカバー・バージョンは、2015年に公開されたドキュメンタリー映画『COBAIN: モンタージュ・オブ・ヘック』で初公開となった。同年11月6日に発売された同作のサウンドトラック・アルバム『COBAIN: モンタージュ・オブ・ヘック〜ザ・ホーム・レコーディングス』に収録された後、同月20日にB面に「サッピー」を収録した7インチシングル盤としてリカットされた[24][25]。
イギリスのVinyl Singles Chartでは第1位を獲得[26]し、アメリカの『ビルボード』誌が発表したHot Singles Salesでは最高位2位を記録した[27]。
チャート成績(カート・コバーン版)
[編集]チャート (2015年) | 最高位 |
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UK Physical Singles Sales (Official Charts Company)[28] | 2 |
UK Vinyl Singles Chart (Official Charts Company)[26] | 1 |
US Hot Singles Sales (Billboard)[27] | 2 |
その他のアーティストによるカバー
[編集]- エスター・フィリップス - 1965年に歌詞とタイトルを女性目線に変更した「アンド・アイ・ラヴ・ヒム」(And I Love Him)としてカバー[29][30]。Billboard Hot 100で最高位54位を記録した[31]。
- ゲイリー・マクファーランド - 1965年に発売されたアルバム『Soft Samba』に収録[32]。
- ホセ・フェリシアーノ - 1968年に発売されたアルバム『Feliciano!』に収録[33]。
- ポール・マッカートニー - 複数のライブでセルフカバーしており、1991年に発売されたライブ・アルバム『公式海賊盤』に『MTVアンプラグド』での演奏が収録された[34]。
- Mi-Ke - 1993年に発売されたアルバム『永遠のリバプールサウンド〜Please Please Me, LOVE』に収録。
- ブラッド・メルドー・トリオ - 2016年に発売されたアルバム『Blues and Ballads』に収録[35]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ なお、同作のステレオ盤にはモノラル・ミックスをステレオ化した疑似ステレオ・ミックスが収録された。
出典
[編集]- ^ “So, what music do you listen to?”. Billboard: 33. (28 April 2001) .
- ^ Pollack, Alan W.. “Alan W. Pollack's Notes on "And I Love Her"”. www.icce.rug.nl. 2021年5月4日閲覧。
- ^ Unterberger, Richie. “And I Love Her - The Beatles | Song Info”. AllMusic. All Media Group. 2021年5月4日閲覧。
- ^ Sheff 1981, p. 146.
- ^ a b Spitz 2005, pp. 488–489.
- ^ Giuliano 1999, p. 41.
- ^ Simmons, Michael (November 2011). “Macca on George: "He Had An Eye Out For The Fakes"”. Mojo.
- ^ a b Lewisohn 1988, pp. 39–40.
- ^ a b Lewisohn 1988, p. 39.
- ^ Unterberger 2006, p. 89.
- ^ a b Babuik 2002, p. 119.
- ^ a b c d Lewisohn 1988, p. 40.
- ^ Unterberger 2006, p. 90.
- ^ Lewisohn 1988, p. 41.
- ^ Lewisohn 1988, p. 45.
- ^ a b c Lewisohn 1988, p. 201.
- ^ Lewisohn 1988, p. 46.
- ^ MacDonald 2005, p. 108.
- ^ "Ultratop.be – The Beatles – And I Love Her" (in Dutch). Ultratop 50. 2021年5月4日閲覧。
- ^ "Ultratop.be – The Beatles – And I Love Her" (in French). Ultratop 50. 2021年5月4日閲覧。
- ^ “The Hot 100 Chart”. Billboard (1964年9月5日). 2021年4月29日閲覧。
- ^ Hoffmann, Frank (1983). The Cash Box Singles Charts, 1950-1981. Metuchen, NJ & London: The Scarecrow Press, Inc. pp. 32-34
- ^ 『日経BPムック 大人のロック!特別編集 ザ・ビートルズ 世界制覇50年』日経BP、2015年、97頁。ISBN 978-4-8222-7834-2。
- ^ Joyce, Colin (2015年9月23日). “Kurt Cobain Seven-Inch Featuring Beatles Cover Will Come Out This November”. SPIN (Next Management Partners) 2021年5月4日閲覧。
- ^ “カート・コバーン、11月にビートルズのカヴァーを収録した7インチがリリースされることに”. NME Japan (BandLab UK Limited). (2015年9月24日) 2021年5月4日閲覧。
- ^ a b “Official Vinyl Singles Chart Top 40”. Official Charts Company (2015年12月11日). 2021年5月4日閲覧。
- ^ a b “Hot Singles Sales : Dec 12, 2015”. Billboard (2015年12月12日). 2016年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月4日閲覧。
- ^ “Official Physical Singles Chart Top 100”. Official Charts Company (2015年12月11日). 2021年5月4日閲覧。
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- ^ Shapiro, Nat; Pollock, Bruce (1985). Popular Music, 1920-1979: A Revised Cumulation. 1. Gale Research Company. p. 126. ISBN 0-8103-0847-9
- ^ “The Hot 100 Chart”. Billboard (1965年6月26日). 2021年5月4日閲覧。
- ^ Soft Samba - Gary McFarland | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2021年5月4日閲覧。
- ^ Unterberger, Richie. “Feliciano! | José Feliciano | Songs, Reviews, Credits”. オールミュージック. 2021年5月4日閲覧。
- ^ 宇田和弘『アコースティック・ギター・ミュージック名鑑350』音楽出版社、2007年、48頁。ISBN 4-8617-1028-6。
- ^ Collar, Matt. Blues and Ballads - Brad Mehldau Trio, Brad Mehldau | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2021年5月4日閲覧。
参考文献
[編集]- Babiuk, Andy. Beatles Gear. San Francisco: Backbeat Books. ISBN 0-8793-0731-5
- Giuliano, Geoffrey (1999). Two of Us: John Lennon & Paul McCartney Behind the Myth. Penguin Studio. ISBN 0-1402-3460-8
- Lewisohn, Mark. The Beatles Recording Sessions: The Official Abbey Road Studio Sessions Notes 1962-1970. Great Britain: Hamlyn. ISBN 0-6005-5784-7
- MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (Second Revised ed.). London: Pimlico (Rand). ISBN 1-84413-828-3
- Sheff, David (1981). The Playboy Interviews with John Lennon and Yoko Ono. Playboy Press. ISBN 0-8722-3705-2
- Spitz, Bob (2005). The Beatles: The Biography. Boston: Little, Brown. ISBN 0-316-80352-9
- Unterberger, Richie (2006). The Unreleased Beatles: Music & Film. San Francisco: Backbeat Books. ISBN 0-8793-0892-3
外部リンク
[編集]- And I Love Her - The Beatles