聖光学院(福島1位)が山形中央(山形3位)に7-1の快勝で決勝進出を決め、来春センバツの出場を確実にした。約1カ月ぶりに実戦復帰した聖光学院の1番打者・芳賀巧外野手(2年)が、第1打席から4打席連続出塁。頼れるリードオフマンがチームを勢いづけると、打線も12安打7得点と爆発。来春センバツの東北地区の一般選考枠は3校。聖光学院はこの勝利で、3年ぶり7度目の春の甲子園にグッと近づいた。

   ◇   ◇   ◇

芳賀が、1カ月のブランクを一切感じさせない一振りで、初回から打線を活気づけた。「1番を任されたならチームを勢いづけたいなって。自分はそれしか考えてなかった」。1回無死、先頭で打席に立ち、初球の外角直球を狙い打った。左前打で出塁し、一塁上で右拳を突き上げて仲間を鼓舞した。

雨が降る中、熱を増していくナインは3回に2点を先制。4回2死二塁では、芳賀の中適時二塁打でチーム4点目を挙げ、さらに勢いは増した。2安打2四球1打点と躍動したリードオフマンに、斎藤智也監督(61)は「芳賀は初球からなんでも振っていく選手。素晴らしいヒットだった。その後のタイムリーも効果的だった」と手放しで褒めた。

芳賀は9月中旬に腰椎分離症を発症した。2週間何も出来ない期間を過ごしたが、焦りはなかった。「控えに回ってくれている人も実力は変わらない。誰が出ても勝ってくれると信じてました」。自分のことよりチームのことを考え、練習を外から見たことで気づいた隙を伝えるなどサポートに回った。そして実戦復帰で2安打。「このヒットは自分だけの力じゃなくてチーム全体で打たせてくれた」。この大一番まで勝ち上がったチームに恩返しした。

センバツ当確はあくまでも通過点。今大会の目標は優勝の先にある神宮大会出場だ。22年春のセンバツに出場した3年前の世代は、東北大会準優勝。同年夏には甲子園4強まで進んだ。芳賀は「憧れですが、同じ道をたどっていたら、自分たちの唯一無二は生まれてこない」。先輩たちとは違う「聖光学院」をつくっている最中だ。「神宮を目指しているので、安堵(あんど)する暇はない」。唯一無二を追い求め、まずは東北の頂点に立つ。【浜本神威】

○…山形中央は初の決勝進出にあと1歩届かなかった。先発のエース小坂楓投手(2年)は準々決勝での120球完投から中2日での登板に、疲れを隠せず5回6失点と打ち込まれた。「甘く入った球が打たれてしまった」と力の差を痛感。来春センバツは東北地区の一般選考3枠目での争いとなるが、冬のトレーニングで体作りを含めて基礎から鍛え直して準備をしていく。