カナダ野党党首、トランプ氏想起で支持離れ 総選挙控え
カナダの野党・保守党のピエール・ポワリエーブル党首には行動様式に1つのモードしかない。「攻撃」だ。 トロント郊外のブランプトンで4月開かれた集会で、ポワリエーブル氏は重罪を繰り返す犯罪者を終身刑に処す「三振即アウト」法の制定を訴えた。 「暴漢をハグし捕まえては釈放する政策は、かつて安全だった我々の町と都市を破壊した」と言うと、1000人ほどの支持者から大喝采を浴びた。「暴力的な犯罪を真剣に受け止
貿易戦争の行方 カギ握るベッセント米財務長官
トランプ米大統領は10日に開いた閣議で、スコット・ベッセント財務長官に市場の最新情報を求めた。トランプ政権の貿易政策を巡って米株価指数が新たな危機的兆候を示したためだ。 「きょうは特に異変は見当たらない」とベッセント氏は答え、トランプ氏を安心させようと、インフレ率の低下や原油価格の下落、好調な米国債入札の結果に加え、主要貿易相手国との緊張緩和に向けた協議で前向きな成果が見込まれることに言及した。
BYD創業者の王伝福氏がバッテリーにかける情熱
3月中旬は、中国の電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)と、冶金学者から億万長者となった同社創業者の王伝福董事長(58)にとって、波乱の展開だったと言えるだろう。 競合の米テスラが、野心的な事業拡大計画のために60億ドル(約8700億円)近く調達する中、BYDは3大陸で危機に直面していた。メキシコで数百万ドル規模の工場を建設する計画は、メキシコ政府と中国政府の双方が技術流出を懸念して反対してい
剛腕ドゥテルテ氏、人道犯罪でICC公判手続きへ
フィリピンのドゥテルテ前大統領はかつて、ダバオ市長時代に麻薬密売人を殺すためにバイクを乗り回していたと豪語していた。「麻薬戦争」とも呼ばれるその取り締まりの暴虐行為により、ドゥテルテ氏は人道に対する罪に問われ、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)で裁かれようとしている。 元国家元首からICCの勾留者への転落は、2016年から22年にかけて大統領として権力の頂点に上り詰めた道のりと同じくらい
ジェームズ・ボンド 米アマゾンが命運握った英スパイ
ジェームズ・ボンドが最後に目撃されたのは、デンマーク自治領フェロー諸島にある敵の隠れ家のコンクリートの屋上だった(編集注、フェロー諸島はロケ地)。降り注ぐミサイルで吹き飛ばされ、最期を迎えた。もっともボンドはその前から、死を招く細菌化学兵器「ナノボット」に感染し、敵の銃撃で血まみれだった。運命はミサイルの攻撃を受ける前から決していた。 ボンドをよみがえらせる作業には、これまでも常に巧みなスキルが
トランプ政策の実行隊長、スティーブン・ミラー氏
トランプ米大統領が就任式の前日にワシントンで開いた支持者との「勝利集会」では、多くの著名人が交代で、新しいアメリカ時代の幕開けを祝うために集まった歓喜に沸くトランプ支持者を盛り上げた。 「MAGA(米国を再び偉大に)」の信者たちからひときわ大きな歓声を受けたのは、俳優のジョン・ボイト氏や、総合格闘技団体UFCのダナ・ホワイト最高経営責任者(CEO)、ロック歌手のキッド・ロックさんではなかった。そ
シリア反体制派のジャウラニ指導者とは何者か
シリアの反政府派・シャーム解放機構(HTS)のアブ・モハンマド・アル・ジャウラニ指導者(42)は、カーキ色の軍服に身を包み、非武装のガードマンを連れて堂々と中世の要塞・アレッポ城の階段を上り、支持者たちの声援を浴びた。彼の軍がアサド政権を打ち倒す数日前のことだ。 HTSは11月27日の進軍開始から電光石火の速さでシリア第2の都市アレッポを掌握した。 ジャウラニ指導者はあぜんとするアレッポ住民に手
一時拘束のテレグラムCEO、ドゥーロフ氏とは何者か
この記事の原文(英語)をNIKKEI FT the Worldでお読みいただけます。 通信アプリ「テレグラム」のパベル・ドゥーロフ最高経営責任者(CEO)はめったにメディアの取材を受けないが、今年2月にフィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューに応じた際には「完璧な仕事、完璧な人生」を手に入れていると誇らしげだった。 インタビューの場所となったのは、テレグラムが拠点を置くアラブ首長国連邦(UA
スターマー英首相 勝ちにこだわるミッドフィールダー
7月5日、ロンドンを流れるテムズ川に朝日が差し込む午前5時。新たな英首相となるキア・スターマー氏が、現代美術館テートモダンの中に広がるタービンホールに入っていく。安堵の表情をたたえた大勢の労働党員に迎えられ、彼はこう言い切った。「私たちは前を向けるようになった。夜明けへと歩いていこう」 スナク前首相に「左翼弁護士」とレッテルを貼られたスターマー氏が、見事に一矢を報いた瞬間だ。労働者階級の出身で出
故ナワリヌイ氏の妻、プーチン氏との戦いに挑む
2月16日に急死が伝えられたロシアの反体制派アレクセイ・ナワリヌイ氏の妻、ユリアさん(47歳)は、長年にわたり、政治のスポットライトが当たるのを避けてきた。 公の場で夫に付き添うことは多々あったが、夫が3年前にロシアで収監されてからも、夫に代わって自ら反体制運動の先頭に立つことはなかった。 だがナワリヌイ氏が遠い北極圏の刑務所で死亡したことを受け、エコノミストであり、2児の母でもあるユリアさんは