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 米オラクルが2024年9月に開催した年次イベント「CloudWorld」で会場が沸いたのは、ラリー・エリソン会長兼CTO(最高技術責任者)と米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のマット・ガーマンCEO(最高経営責任者)が並んで登場し、クラウド提携を語ったときだった。

 Oracle Cloud Infrastructure(OCI)を構成するExadata(データベースとハードウエア)やRAC(Real Application Clusters)をAWSのデータセンターに設置し、AWS上でOCIを提供する提携だ。言うなればOCIのクローンをAWSに組み込む。AWSとOCIのシームレス連携が可能になる。

 ガーマンCEOは「顧客に対し、AWSコンソールの一部としてOCIを表示し、AWSの中でOCIの課金もする。OCIのサポートはAWSかオラクルのいずれかから受けられる」と述べた。

 「競合するクラウドの中に“出島”のようにOCIを置く。ありえないようなチャレンジに驚いた。最終決断はエリソン会長が下した」。日本オラクルの佐藤裕之事業開発本部長は打ち明ける。Microsoft AzureとGoogle CloudにもOCIクローンを入れることが既に発表されている。

図 4社のクラウドインフラサービス売上高
図 4社のクラウドインフラサービス売上高
大手3社とオラクルの差は大きい(出所:各社の決算資料を基に日経コンピュータ作成(オラクルの2Qは6~8月、それ以外は4~6月、Microsoft Azureは筆者推定))
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