4月の鉱工業生産、0.1%低下 市場予想下回る
経済産業省が31日に発表した4月の鉱工業生産指数(2020年=100、季節調整済み)速報値は101.6となり、前月から0.1%下がった。上昇を見込む声が多かった民間予測に反して2カ月ぶりのマイナスとなった。米航空機大手ボーイング社製の小型機の減産で、部品を納入する日本企業の生産が鈍ったのが響いた。
QUICKがまとめた事前の民間エコノミスト予測の中央値は前月比1.2%上昇だった。基調判断は「一進一退ながら弱含み」と前月から据え置いた。
全15業種のうち7業種で低下した。航空機用機体部品などの輸送機械工業が前月比13.4%のマイナスだった。ボーイング社製の小型機の減産を受け、部品を納入している日本企業の受注や生産が減った。一般用蒸気タービンやコンベヤといった汎用・業務用機械工業は3.2%下がった。
上昇した8業種のうち、半導体製造装置や機械プレスの生産用機械工業は4.1%上がった。台湾や中国といった海外向けの生産が堅調だった。金属製品工業は6.4%伸びた。自動車部品のばねの生産が戻りつつある。
主要企業の生産計画から算出する予測指数は5月に前月比で6.9%の上昇を見込む。企業の予測値は上振れしやすく、例年の傾向をふまえた経産省による補正値は2.3%の上昇となっている。6月の予測指数は5.6%のマイナスとなった。
ボーイングは24年1月、小型機「737MAX」が飛行中に胴体に穴が開く事故を起こした。4月には中型機「787」の製造品質に不備があるとの内部通報があり、米連邦航空局(FAA)が調査に乗り出したことが明らかになっている。
経産省の担当者は、機体部品への「影響がどのくらい続くかは不透明だ」と言及した。
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